小柴昌俊(読み)コシバマサトシ

デジタル大辞泉 「小柴昌俊」の意味・読み・例文・類語

こしば‐まさとし【小柴昌俊】

[1926~2020]物理学者愛知の生まれ。素粒子観測装置カミオカンデを考案し、世界で初めてニュートリノの観測に成功した。平成9年(1997)文化勲章受章。平成14年(2002)、ノーベル物理学賞受賞

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小柴昌俊」の意味・わかりやすい解説

小柴昌俊
こしばまさとし
(1926―2020)

物理学者。愛知県豊橋市生まれ。1951年(昭和26)東京大学理学部卒業、1955年アメリカ・ロチェスター大学大学院修了。シカゴ大学研究員を経て、1958年東京大学助教授、1970年同大教授、1987年同大名誉教授、同年東海大学教授(~1997年)。2003年(平成15)平成基礎科学財団の初代理事長に就任。1983年に建設されたカミオカンデ(岐阜県・神岡鉱山地下1000メートルに巨大な水のタンクを備えた素粒子観測装置)を考案した。1987年カミオカンデで大マゼラン星雲超新星爆発で放出された素粒子ニュートリノを世界で初めて観測した。1988年文化功労者、1997年(平成9)文化勲章受章。2002年、別の手法で宇宙からのニュートリノをとらえたR・デービスとともに、天体物理学とくに宇宙ニュートリノ検出における先駆的貢献によりノーベル物理学賞を受賞。また、宇宙におけるX線源を発見したR・ジャコーニも同時受賞した。なお、カミオカンデの観測はスーパーカミオカンデ(1995年完成)に後継された。

[編集部 2020年12月11日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小柴昌俊」の意味・わかりやすい解説

小柴昌俊
こしばまさとし

[生]1926.9.19. 愛知,豊橋
[没]2020.11.12. 東京,江戸川
物理学者。2002年に「天体物理学,特に宇宙ニュートリノの検出に対する先駆的貢献」で,レイモンド・デービス,リカルド・ジャコーニとともにノーベル物理学賞(→ノーベル賞)を受賞した。1951年東京大学理学部卒業。アメリカ合衆国のロチェスター大学大学院修了後,シカゴ大学研究員,東京大学原子核研究所(→高エネルギー加速器研究機構)助教授を経て,1971~87年同大学理学部教授,1987年東海大学教授,2005年東京大学特別栄誉教授。原子核乾板を使い宇宙線の相互作用を研究し,1975年ドイツ連邦共和国(西ドイツ)との共同実験でグルーオンの発見やゲージ理論の検証などを行なう。岐阜県飛騨市神岡の地下に大統一理論検証を目的に陽子崩壊検出装置カミオカンデを建設。この装置によって 1987年,大マゼラン雲(→マゼラン雲)の超新星1987Aからニュートリノを検出することに成功した。その後,太陽ニュートリノの検出にも成功し,ニュートリノ天文学の礎を築いた。1987年仁科賞,1989年日本学士院賞受賞,1997年文化勲章受章。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「小柴昌俊」の意味・わかりやすい解説

小柴昌俊【こしばまさとし】

宇宙物理学者。東京大学理学部卒業。東京大学理学部教授を経て同名誉教授。1983年より素粒子検出装置カミオカンデ(のちスーパーカミオカンデ)を用いて,陽子崩壊の検出実験を行う。1987年,大マゼラン星雲で発生した超新星爆発によるニュートリノ11例の捕獲に世界で初めて成功した。これらの成果によりニュートリノ天文学という新しい研究分野を開拓したとして,レイモンド・デイヴィスJr.(Raymond Davis Jr.,1914-2006)とともに2002年のノーベル物理学賞を受賞。
→関連項目ノーベル賞

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

知恵蔵mini 「小柴昌俊」の解説

小柴昌俊

物理学者。1926年、愛知県豊橋市生まれ。51年に東京大学理学部を卒業後、米国留学を経て58年に同大学の助教授、70年には教授に就任した。理論的には予言されているものの実際には観測されていない陽子崩壊を観測する目的で、83年に岐阜県飛騨市(当時は吉城郡神岡町)の神岡鉱山の地下に3千トンの水を蓄えられる観測装置「カミオカンデ」を建設。87年には宇宙から飛来する素粒子「ニュートリノ」の観測を開始した。同年、大マゼラン星雲で起こった超新星爆発から放出されたニュートリノの観測を成功させた。これにより、光以外の信号を受信することで天体の性質の解明を可能とする新たな天文学の分野が切り開かれた。この功績により、2002年にノーベル物理学賞を受賞。この賞金などを元手として、03年に公益財団法人「平成基礎科学財団」(17年解散)を設立し、基礎科学研究や理科教育の振興にも尽力した。20年11月12日に94歳で死去した。

(2020-11-26)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小柴昌俊」の解説

小柴昌俊 こしば-まさとし

1926- 昭和後期-平成時代の物理学者。
大正15年9月19日生まれ。昭和45年東大教授となる。62年東海大教授。岐阜の神岡鉱山の地下に宇宙線観測装置をつくり,62年大マゼラン雲でおきた超新星爆発からきた素粒子ニュートリノをはじめて検出した。平成元年学士院賞。9年文化勲章。14年ノーベル物理学賞。15年平成基礎科学財団理事長。愛知県出身。東大卒。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「小柴昌俊」の解説

小柴 昌俊 (こしば まさとし)

生年月日:1926年9月19日
昭和時代;平成時代の物理学者。ノーベル物理学賞受賞

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android