フランスの医学・細菌学者。パリ大学で医学を修めたのち、ケンブリッジ大学に留学した。7年間海軍軍医生活を送り、1891~1893年サイゴン(現、ホー・チ・ミン市)のパスツール研究所初代所長となる。1913~1933年パリのパスツール研究所所長代行を務めた。1906年、ウシから分離した結核菌をウシ胆汁グリセリン馬鈴薯(ばれいしょ)培地に継代培養し始め、ゲランCamille Guérin(1872―1961)の協力によって弱毒生ワクチンを創製した。これをBacille de Calmette Guérin(BCG)とよぶ。多くの動物実験によってBCGの安全性と免疫効果が証明され、人へのBCG接種報告は1925年に始まる。BCGは全世界で唯一の結核予防用ワクチンであり、おもに子供に対する接種が実施されている。なおBCGには、ハンセン病とある種の小児白血病に対して予防効果のあることが認められている。
[藤野恒三郎]
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