ペルピニャン(その他表記)Perpignan

デジタル大辞泉 「ペルピニャン」の意味・読み・例文・類語

ペルピニャン(Perpignan)

フランス南部の都市ピレネー山脈の東端付近にあり、13~14世紀、マジョルカ王国の首都ワインオリーブ集散地

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精選版 日本国語大辞典 「ペルピニャン」の意味・読み・例文・類語

ペルピニャン

  1. ( Perpignan ) フランス南部の都市。スペインとの国境に近い地中海側にある。ローマ時代の城塞都市に始まり、一二世紀アラゴン領となり、一三~一四世紀マジョルカ王国の首都となる。ワインやオリーブの集散地。聖ジャン大聖堂・マジョルカ王王宮などがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペルピニャン」の意味・わかりやすい解説

ペルピニャン
Perpignan

フランス南部,スペインとの国境に近い,地中海に面したルーシヨン地方の中心都市。ピレネー・ゾリアンタル県の県都人口10万5027(1999)。司教座所在地。1276年から1344年まで,マリョルカ(マヨルカ)王国の首都。1659年スペインからフランスに割譲。古くはラシャの産地であったが,19世紀鉄道開通後,ブドウ酒果樹野菜などの集散地となった。かつては,バルセロナについでカタルニャ第2の都市として地中海世界に名を知られており,当時の砦や〈海の館〉が今日に伝えられている。
執筆者:

サン・ジャン・ル・ビュー教会は南側玄関に,白大理石のキリスト座像と2天使を備える。量感を追求し衣襞を強調したルーシヨン地方特有のロマネスク彫刻である。隣接のサン・ジャン大聖堂は1324年に着工され,ゴシックからバロックに至るたくさんの祭壇衝立(ルタブル)がある。付属礼拝堂に置かれた木彫のキリスト磔刑像は悲愴さを極限まで表現したもので,1307年ころドイツで作られたとされる。市庁舎中庭に,同市で没したマイヨールの彫刻《地中海》(1905)がある。煉瓦造のカスティエ(旧城壁門の砦)は14世紀の構築,その中にカタルニャの民芸品風俗を紹介する博物館が設置されている。また,13~14世紀のマリョルカ王宮は,18世紀にボーバンが建設した城塞で囲われた。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルピニャン」の意味・わかりやすい解説

ペルピニャン
ぺるぴにゃん
Perpignan

フランス南部、ピレネーゾリアンタル県の県都。スペイン国境に近く、テート川右岸に位置するフランス・カタルーニャ地方の中心都市。地中海岸からは11キロメートル離れる。人口10万5115(1999)、12万1934(2015センサス)。10世紀ごろ要塞(ようさい)都市として建設、ルシヨン地方の首都となった。12世紀にスペインのアラゴン領となり、1276~1344年はマリョルカ(マジョルカ)王国の首都。大革命(1789~1799)まで存続した大学が14世紀に創建され、これにより発展した。ルシヨンは17世紀にフランス領に戻った。周辺の肥沃(ひよく)な平野で生産されるワイン、野菜、果実、オリーブなどの取引中心地。工業には金属、食料品、メリヤス加工などがある。美術史上貴重な歴史的建造物に富み、14世紀のカスティエ要塞はカタルーニャ博物館となっている。ほかに、海事裁判所がある14、15世紀の建物ロッジュ、同時代の建築で木彫のキリスト磔刑(たっけい)像を収めるサン・ジャン大聖堂、13、14世紀のマリョルカ王宮、それを囲む軍事技術家ボーバン築造の要塞などがあり、これらを巡る観光地ともなっている。

[青木伸好]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルピニャン」の意味・わかりやすい解説

ペルピニャン
Perpignan

フランス南部,ピレネーゾリアンタル県の県都。地中海に 13km,スペイン国境に 31kmの地にあり,旧ルーシヨン州の州都。豊かな農村を背後にもつワイン,果物,野菜の取引の中心地。食品・金属工業がある。中世はスペインの支配下にあって,マジョルク王国の首都としてカタルニャとの関係が深かったが,1659年のピレネー条約でフランス領となった。スペイン,フランスの争いの名残りをとどめるカスティエ城塞 (現博物館) ,14~15世紀の聖ジャン大聖堂をはじめ,数多くの史跡,美術品があり,観光都市としても知られる。人口 11万6676(2008)。

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百科事典マイペディア 「ペルピニャン」の意味・わかりやすい解説

ペルピニャン

フランス南部,ピレネー・ゾリアンタル県の県都。スペイン国境に近い。地中海岸から約10km,テト川に沿う。ブドウ酒,果物,野菜の取引中心地で,製紙・醸造業などが行われる。11世紀に創設,1276年―1344年マリョルカ王国の首都。1659年フランスに併合。11万5326人(2006)。

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世界大百科事典(旧版)内のペルピニャンの言及

【ルーシヨン】より

…現在のピレネー・ゾリアンタル県にほぼ一致する。中心都市はペルピニャン。ピレネー山脈の東端にあり,カニグー,カルリットの山地やテット川,テッシュ川の谷を含む一方,地中海に面し,北をコルビエール山地で画されたルーシヨン平野からなる。…

※「ペルピニャン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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