キス(英語表記)kiss

翻訳|kiss

精選版 日本国語大辞典 「キス」の意味・読み・例文・類語

キス

〘名〙 (kiss)⸨キッス
① (親愛、尊敬の表現として、特に異性に対しては性愛の表現として) 相手の頬、唇、手など肉体の一部に自分の唇をつけて吸うこと。くちづけ。接吻。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一二「物斯的(ウヱスト)は吾が母の一親嘴(キス)(〈注〉クチヲホウニツケルコト)我をして画工とならしめたりと云へり」
玉突きで、一度あたった玉がもう一度ふれること。〔舶来語便覧(1912)〕

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デジタル大辞泉 「キス」の意味・読み・例文・類語

キス(kiss)

[名](スル)《「キッス」とも》
接吻せっぷん口づけ
ビリヤードで、動いている玉と玉とが接触すること。
[類語]接吻くちづけベーゼ

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改訂新版 世界大百科事典 「キス」の意味・わかりやすい解説

キス (鱚)
Sillago japonica

スズキ目キス科の海産魚。別名シロギス。北海道の一部を除く日本のほぼ全沿岸,朝鮮半島,中国,台湾,フィリピンなどに分布している。さらに以南の太平洋インド洋にも分布しているともいわれるが,分類学上の混乱もあり明らかではない。日本の沿岸にふつうに見られ,釣魚としてたいへん人気があるが,地方名はわりあい少ない。関東各地でキス,シロギス,さらに東京都でマギスとも呼ぶ。関西,瀬戸内海,四国,九州の各地でキスゴと呼ばれる。徳島県ではアカまたはアカギスと呼ばれるが,これはアオギスと区別するためであるといわれる。全長35cmに達する。体は円筒形で,体側や各ひれになんらかの斑紋や黒点がない。湾内から外洋に面したところまでの砂泥地に広くすんでいるが,まったくの砂泥地には少なく,岩礁から砂泥地に移行するあたりに多い。ふつうは海底近くをゆっくりと泳いでおり,海底に接して静止していることはない。その遊泳層は海底から15cmくらいまでの範囲であり,海底から30cm以上離れることはほとんどない。隠れ場所の少ないところにすむため,視覚と聴覚が優れており,警戒心が強い。また,ときに砂泥中に潜って危険を避ける習性があるといわれる。夏は岸辺の浅いところまでくるが,冬になると50~60mのやや深いところに移る。肉食性で底生性の小動物を食べている。おもに未成魚ではヨコエビワレカラなどの小型の甲殻類やゴカイ類を,成魚ではゴカイ類やエビ類を食べる。ほかに二枚貝類,イカ類,クモヒトデ類,魚類なども食べる。

 産卵期は地域により差があるが,5~10月で,おもに夏である。産卵は1産卵期に何回にも分けて行われる。卵は直径0.6~0.7mmの無色透明の球形浮性卵で,水温25℃前後で約20時間で孵化(ふか)する。孵化後しばらくは浮遊生活を送り,動物プランクトンを食べて成長する。成長は遅く,瀬戸内海では生後1年で体長約10cm,2年で13.5cm,3年で16cm,4年で17.5cmである。本種は沿岸漁業の対象として重要で,釣り,底流し網,巻刺網,吾智(ごち)網,底引網などにより漁獲される。美味で,刺身,塩焼き,てんぷら,フライ,吸物などにする。夏季に美味。なお日本産キス類には,本種のほか,アオギス(別名ヤギス)S.parvisquamisとホシギスS.maculataの2種が知られている。
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キス
kiss

相手のからだに唇で触れて愛情や敬意を示す行為。接吻,口づけともいう。性交渉の一部として相手を愛撫するためにする性愛のキスと,情愛や尊敬を表す挨拶のキスとに分けられる。キスという語がサンスクリットの〈クスkuś〉と対応し,抱き締めるという語源をもつらしいといわれるように,唇を相互に触れ合わせるキスは,さまざまなキスの一つの型にすぎない。だが,それはシンメトリックな動作であって,必然的に2人の対等な関係を含意する点で特別の意義をもっているといえる。

 霊長類では,チンパンジーにも唇を合わせて挨拶する行動がみられる。動物行動学者の間には,人間のキスも,食物を口うつしに与える給餌行動の儀式化したものとみる見方もある。しかし,唇を相互に合わせる口づけは,上に述べたように,多くのキスの一つでしかないし,それが本来的な型であるという証拠もない。また,唇によるキスという動作が,文化的にも歴史的にも人類に普遍的であるわけでもないのである。挨拶として公然とキスをする習慣のなかった日本にも,秘められた行為として唇を吸い合うことはあったように,性愛のキスだけはいかなる時代の,いかなる社会にもみられるように思われるかもしれない。しかし,実際にはそれすら普遍的ではないようである。たとえば,ポリネシア人やエスキモー人の伝統文化には,性行為の愛戯としてキスする習慣はないし,ネパールなどでも,それは一般的でないといわれる。また古代インドには性愛の文学が豊富であるが,ベーダ文献の末期(紀元前数世紀)にいたるまで,性行為の直截な描写にも今日いう意味でのキスは登場しない。そのかわり,手による愛撫が今日よりはるかに重要であったし,鼻を相手の顔などに近寄せて,愛する者のにおいをかぐ身ぶりもひろく行われていたようである。これはいまでもマレー人の間など,世界のあちこちにみられる,尊敬のしるしに鼻で相手のにおいをかぐ挨拶と通じるものであり,相手の霊気を吸入する意味もあるのであろう。

 ごく一般的にいえば,身体接触を回避する傾向のある文化では,少なくとも挨拶のキスは行われないといえるであろうし,対等な社会関係に乏しい社会では,唇を合わせるキスの動作は成り立ちにくいこともいえるであろう。
挨拶
執筆者:

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百科事典マイペディア 「キス」の意味・わかりやすい解説

キス

キス科の魚。地方名シロギス,キスゴ,シラギスなど。全長35cmに達する。背側は淡黄灰色。北海道南部以南の日本〜中国,フィリピンなどに分布。内湾性で沿岸の砂泥底にすむ。江戸時代より釣の対象として人気があり,刺身,塩焼,てんぷらによい。近縁のアオギスはやや大型だが味は劣る。アオギスは絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。

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デジタル大辞泉プラス 「キス」の解説

キス〔タバコ〕

日本で発売されている外国産タバコのブランド。輸入、販売は秋山産業。原産地はロシア。「エナジー」「ストロベリー」「フレッシュアップル」がある。

キス〔小説:マクベイン〕

米国の作家エド・マクベインの警察小説(1992)。原題《Kiss》。「87分署」シリーズ。

キス〔児童文学〕

安藤由希による児童文学作品。2004年刊行。同年、ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。

キス〔小説:西澤保彦〕

西澤保彦の連作短編集。2006年刊行。SF新本格ミステリー。森奈津子シリーズ。

キス〔化粧品〕

株式会社伊勢半が販売するメイクアップ化粧品のブランド名。

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栄養・生化学辞典 「キス」の解説

キス

 [Sillago japonica].シロギスともいう.スズキ目キス科の海産魚.30cmにも達し,食用にする.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キス」の意味・わかりやすい解説

キス

シロギス」のページをご覧ください。

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