キタオットセイ(英語表記)Callorhinus ursinus; northern fur seal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キタオットセイ」の意味・わかりやすい解説

キタオットセイ
Callorhinus ursinus; northern fur seal

食肉目鰭脚亜目アシカ科オットセイ属。通常オットセイと呼ばれるものは本種をさす。雄は体長約 2.1m,体重約 270kg,雌は体長約 1.5m,体重約 50kgに達する。出生体長 60~65cm,出生体重約 5.4~6kg。体毛は硬く粗い上毛と細く柔らかい下毛から成る。背部は黒茶色または濃い茶ねずみ色で,腹部はやや淡い。体毛の色は成長に伴い変化し,出生時は黒色である。体は紡錘形で四肢が比較的長く,掌部は鰭 (ひれ) 状で黒色を呈し毛はない。頭部は小さく丸みを帯び,吻部は短く幅広で前方に突出する。鼻孔は幅広で短く,口蓋部は狭い。成熟した雄は前頭部が膨満する。耳介は小さい。尾はきわめて小さく後肢の間に隠れる。門歯上顎6本,下顎4本,犬歯は上顎と下顎に各2本,頬歯は上顎 12本,下顎 10本である。鰭脚類中海上で過す時間が最も長い。通常1~2頭で行動し,海面を漂いながら休息したり,毛繕いをする。おもな繁殖地はプリビロフ諸島コマンドル諸島で,夏から秋までとどまる。典型的な一夫多妻で,通常雄は雌より早く繁殖場に上陸し,闘争によってなわばりを形成する。プリビロフ諸島における繁殖期は6月中旬から8月で,最盛期は7月初旬。食性範囲は広く表層および中層に生息する魚類やスルメイカ類を,もっぱら夜間に捕食する。北太平洋,ベーリング海,オホーツク海に広く分布する。最上級毛皮として珍重され,乱獲により著しく減少したが,1957年日本,アメリカカナダソ連の4ヵ国間でオットセイ保護条約 (1988年失効) が結ばれるなど保護活動が進められ,84年を最後に商業捕獲は行われていない。

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百科事典マイペディア 「キタオットセイ」の意味・わかりやすい解説

キタオットセイ

オットセイ

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世界大百科事典(旧版)内のキタオットセイの言及

【アシカ(海驢∥葦鹿)】より

…北大西洋にはアシカ科は分布しない。北太平洋にはキタオットセイ,トド,カリフォルニアアシカ,グアダルーペオットセイの4種が北から南に分布している。北太平洋の東西でキタオットセイ,トド,アシカが同緯度で分布していたが,ニホンアシカが1951年竹島から姿を消して以来,北太平洋の東西の分布は対応していない。…

【オットセイ(膃肭臍)】より

…ミナミオットセイ類も含めてオットセイと総称することもある。この場合,本種をミナミオットセイと区別するためキタオットセイと呼ぶ。短くとがった吻(ふん)と比較的長い耳介や長い後肢を有する。…

※「キタオットセイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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