鰭脚類(読み)キキャクルイ(英語表記)pinniped

翻訳|pinniped

デジタル大辞泉 「鰭脚類」の意味・読み・例文・類語

ききゃく‐るい【×鰭脚類】

食肉目に属する、四肢ひれ状をした哺乳類総称繁殖期以外は水中で生活することが多く、海洋一部の大きな湖に分布アシカセイウチアザラシ各科が含まれる。ひれあしるい。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鰭脚類」の意味・読み・例文・類語

ひれあし‐るい【鰭脚類】

〘名〙 哺乳類食肉目に属する水生動物の総称。アシカ科、セイウチ科、アザラシ科が含まれ鰭脚亜目をなし、陸生食肉類である裂脚亜目に対置される。前後肢が鰭状に変形し、遊泳に適しているのが特徴。ただし、鯨類ほど水中生活に適応していず、体表には毛が密生し、繁殖は陸上ないし氷上で行なう。ききゃくるい。

ききゃく‐るい【鰭脚類】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「鰭脚類」の意味・わかりやすい解説

鰭脚類 (ききゃくるい)
pinniped

食肉目鰭脚亜目Pinnipediaに属する哺乳類。食肉目の中で水中生活に適応した仲間で,系統的にはイヌ,クマなどに近い。生活の大部分を水中で過ごし,水中で食物をとるが,繁殖期には必ず陸上か氷上で過ごす。セイウチ科,アザラシ科,アシカ科の3科からなる。水かきのあるひれ状の前・後肢をもつのでこう呼ばれる。北極海から南極海に至る世界の海洋に広く分布するが,種ごとに分布は異なる。セイウチ科は1属1種で,北極海を中心に分布するが,ベーリング-チュクチュ海系と北大西洋系の2亜種がある。アザラシ科は11属19種がある。北極海や北太平洋,北大西洋の海氷域にはタテゴトアザラシなど6種,南極海の海氷域にはウェッデルアザラシなど4種,海氷と関係ない中・低緯度にはゾウアザラシモンクアザラシなど7種,またバイカル湖カスピ海にはバイカルアザラシなど2種が分布する。アザラシ類は水生適応が進み,海氷の発達する高緯度海域や内水面まで広く適応分散している。一方,アシカ科の分布範囲はやや狭く,北大西洋には1種も分布せず,また海氷域にも分布しない。北太平洋にトドオットセイ,中・低緯度にはカリフォルニアアシカオタリアなど10種が,南極海,亜南極海にナンキョクオットセイなど2種が分布する。

 セイウチ科の特徴は大きな上顎犬歯にある。セイウチはこのサーベルのような犬歯で海底を掘って貝類を食べる。アザラシ科は前肢がクジラのひれのように短く退化し,後肢は後方にのび前方に曲げられない。このため四肢歩行はできない。アシカ科は前・後肢ともひれ状をしているが,四肢歩行ができる。陸上での運動機能が劣化しているため,陸岸で繁殖する種はアザラシ科,アシカ科ともに集団繁殖をし,ハーレムをもつ。雄は雌の数倍の大きさになる。良質の毛皮をもつ種は毛皮を目的に,またゾウアザラシは脂肪を目的に乱獲された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鰭脚類」の意味・わかりやすい解説

鰭脚類
ききゃくるい
Pinnipedia

哺乳綱食肉目鰭脚亜目の動物の総称。アシカ科 Otariidae,アザラシ科 Phocidae,セイウチ科 Odobenidaeの3科に分けられる。いずれも毛皮を有し換毛する。四肢が鰭 (ひれ) 状で水中生活に適応しており,水陸両生である。出産は陸上あるいは氷上で行う。1産1仔。食性は広く魚類,貝類,イカやタコなどを水中で採餌する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android