改訂新版 世界大百科事典 「キボシカミキリ」の意味・わかりやすい解説
キボシカミキリ
Psacothea hilaris
甲虫目カミキリムシ科に属し,イチジク,クワ類の生木の害虫として知られる。本州,四国,九州,琉球諸島,対馬のほか,朝鮮半島や中国北部にも分布するが,色彩と形態の若干の相違から多くの亜種に分けられる。黒色の体は灰色の微毛に覆われ,黄色紋を散布する。触角は長く,雄では体長の約2.6倍,雌では約2倍で,いずれも白色微毛の環がある。体長14~30mm。成虫は5月ごろから出現し,イチジク,クワ類の葉を食し,また,これらの木の樹皮をかじって傷をつけ,その中に産卵管をさし入れて1個ずつ卵を産みつける。孵化(ふか)した幼虫は樹皮下から材部に穿孔(せんこう)し,木を弱らせる。孔道の一部から木くずや糞を排出するため被害が容易にわかる。幼虫は白色円筒形で十分に成長したものは体長約45mm。胸脚はなく,各腹節背面の歩行隆起には顆粒状突起を2~3重の環状に分布する。肛門は3裂。カミキリムシ類の駆除法として産卵痕付近を軽くたたき卵や若齢幼虫を殺す。糞の排出口からMEP剤,PAP剤などの乳剤の500倍希釈液を注入する。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報