日本大百科全書(ニッポニカ) 「キンバレー岩」の意味・わかりやすい解説
キンバレー岩
きんばれーがん
kimberlite
橄欖(かんらん)石と雲母(うんも)(金雲母または黒雲母)を多量に含む、斑状の橄欖岩あるいは角礫(かくれき)状橄欖岩。橄欖岩としてはカリウムとアルミニウムに富む。キンバーライト、雲母橄欖岩ともいう。他に透輝石、マグネシウムに富む頑火(がんか)輝石(エンスタタイト)、ざくろ石、チタン鉄鉱、クロム鉄鉱、ペロブスカイト(灰チタン石)、ダイヤモンドなどを含む。また、変質して蛇紋石、緑泥石、滑石、炭酸塩鉱物ができていることが多い。ダイヤモンドの母岩として知られ、岩石名は、ダイヤモンド鉱山の多い南アフリカ共和国のキンバリーにちなんでつけられた。
凝灰岩あるいは凝灰角礫岩のような外観をもち、小さな岩脈や、逆円錐(えんすい)パイプ(直径約500メートル)状の岩体をなす。ガスと結晶を多く含んだマグマが、地下300キロメートルもの深さから、時速2000キロメートル前後で一気に、上部マントルから地殻を通過して地表付近に達して、キンバレー岩ができると考えられている。キンバレー岩は、マグマが上昇する途中で取り込んだざくろ石橄欖岩や、エクロジャイトなどの上部マントルや下部地殻の岩片を捕獲岩として含んでおり、地球内部の物質について具体的な情報をもたらす。安定大陸にだけ産し、アフリカ中南部とシベリアのヤクーチアにとくに多い。中生代白亜紀に貫入した岩体がもっとも多い。
[千葉とき子]