翻訳|Kimberley
南アフリカ共和国中部,北ケープ州の州都。人口20万6000(1996)。1867年ダイヤモンドが発見されて出現した鉱業都市であるが,露天掘りによるダイヤモンド鉱は1915年に終わり,ビッグ・ホール(大穴)といわれる直径約500m,平均の深さ400mの世界最大の穴が残って観光地となっている。商工業の中心として各種軽工業が生産を続けている。国内の主要都市とは鉄道,航空路で結ばれる。
執筆者:西野 照太郎
1867年ボーア人の一農民がたまたま子どもがもてあそんでいる石を見て鑑定の結果,ダイヤモンド原石と判明した。原石の発見された西グリカランド地方は法的にはオレンジ自由国の一部であったが,グリカ族のウォーターボーア首長がその所有権を主張してイギリスに保護を求めた結果,71年イギリスが介入し,80年ケープ植民地に編入した。原石発見とともにダイヤモンドラッシュが起こり,世界各地から投機家が殺到,貸区制の鉱区で採掘した。71年末にはド・ベールス,キンバリー,デュトア・パン,バルトフォンテインの4大鉱山に約3600の貸区があり,白人投機家はアフリカ人労働者を使って採掘した。73年の経済恐慌によって企業の集中化が進み,81年末には70余の会社に統合され,その中にはのちにケープ植民地首相となったセシル・ローズとC.ラッドのド・ベールス鉱業会社,B.バルナトのキンバリー・セントラル鉱業会社があった。さらに88年以降にはド・ベールス社がその他の会社を合併し,90年にはダイヤモンド鉱業のほぼ全体を支配した。アフリカ人労働者は近隣の部族から調達され,契約期間も最初の3ヵ月から18ヵ月に延ばされ,賃金は白人に比べて著しく低く,またアフリカ人労働者を厳しく監視する悪名高い隔離宿舎制度(コンパウンド・システム)もこの鉱山で初めて導入された。
執筆者:林 晃史
三畳紀のケツ岩,砂岩の互層,輝緑岩,ケイ岩,先カンブリア時代の片麻岩類や花コウ岩から成る地層中に,ダイヤモンドの母岩であるキンバーライトのパイプ状の岩脈が知られている。この地方で最初にダイヤモンドが発見されたキンバリー鉱山のキンバーライトは,すでに採掘が終わっているが,ド・ベールスなど数ヵ所の鉱床では近代的な方法で採掘が行われ,ダイヤモンドが回収されている。
執筆者:山口 梅太郎
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南アフリカ共和国中部、北ケープ州北東部にあるダイヤモンド鉱山都市。同州の州都ブルームフォンテーンの西北西150キロメートル、標高1250メートルに位置する。人口16万7060(1995)、うち白人は3万4066人。2002年の推計人口は18万9500。1871年のキンバリー鉱山の発見により建設され、75年にはケープ・タウンからの鉄道が開通、同鉄道の本部が置かれた。当初バルナトBarnett Barnato(1852―97)のキンバリー・セントラル鉱業会社がダイヤモンドの採掘にあたったが、88年セシル・ローズとラッドCharles Dunell Rudd(1844―1916)のデビアース鉱業会社に買収され、以後同社が採掘を続けた。市の中心部マーケット広場に面してグリクァランド・ウェスト最高裁判所、市庁舎、中央郵便局があり、デビアース鉱業会社事務所はストックディル街にある。そのほか公共建物のほとんどは目抜き通りのデュトアパン街にある。当地で産出されたダイヤモンド原石はいったんダイヤモンド取引所のキンバリー・ハウスに集められ、そこから国内およびイギリスの研磨工場に送られる。またこの目抜き通りとレノックス街との交差点にはセシル・ローズの馬上像、メモリアル街との交差点には第一次世界大戦記念碑が立っている。市の北部には、ビッグ・ホールとよばれる直径約500メートル、深さ約400メートル、運び出された土の量2100万トンという露天掘りの跡があり、その北側に設けられた展望台から観察できる。
[林 晃史]
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南アフリカ共和国北ケープ州の州都。1867年ダイヤモンド鉱石の発見ののち,一夜にして鉱山都市となった。当初オレンジ自由国の領内にあったが,80年イギリスがケープ植民地に編入。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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