翻訳|peridotite
おもに橄欖石と斜方輝石、単斜輝石からなり、スピネル、角閃(かくせん)石、ざくろ石などを伴うことのある完晶質深成岩。ペリドタイトともいう。二酸化ケイ素SiO2(シリカ、ケイ酸)の含有量による分類では超塩基性岩であり、苦鉄質鉱物の含有量による分類では超苦鉄質岩である。橄欖石、斜方輝石、単斜輝石の3種類の鉱物の含まれる割合により分類され、ダナイトdunite(ダン橄欖岩、橄欖石90%以上)、ハルツバージャイトharzburgite(おもに橄欖石と斜方輝石からなる)、レールゾライトlherzolite(橄欖石40%以上、単斜輝石と斜方輝石両方を伴う)、ウェールライトwehrlite(おもに橄欖石と単斜輝石からなる)、斜方輝石岩orthopyroxenite(斜方輝石90%以上)、単斜輝石岩clinopyroxenite(単斜輝石90%以上)などがある。橄欖岩は層状苦鉄質迸入(へいにゅう)岩体下部に早期に晶出した層状分化岩体として産出したり、世界各地の造山帯の中にアルプス型橄欖岩として産出する。また、橄欖岩は玄武岩という火山岩中に捕獲岩として含まれることがあり、これは玄武岩質マグマが地下深くから上昇してくるときに取り込まれたマントル物質だと考えられている。このことは、深さ約400キロメートルまでのマントル上部は橄欖岩から構成されていることを示している。橄欖岩は変質して蛇紋岩となって産出することが多い。西南日本の黒瀬川構造帯に多く分布する蛇紋岩は、橄欖岩起源のものとされている。
[村田明広 2015年5月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報