ぎぎ(その他表記)Pelteobagrus nudiceps

精選版 日本国語大辞典 「ぎぎ」の意味・読み・例文・類語

ぎぎ

  1. 〘 名詞 〙 ギギ科の淡水魚。全長二五センチメートルに達する。口ひげが四対あり、背びれ胸びれ毒腺のある棘(きょく)があって刺されると痛む。体色は灰褐色で暗色の不規則な斑紋があるが、死後は黄変する。胸びれを使ってギーギーという音をたてるところからこの名がある。河川湖沼にすみ、昼間は岩かげにひそみ、夜間活動し、小魚エビ類、昆虫類の幼虫などの小動物を食べる。尾びれの先端が深く二またになっている点で近縁種ギバチと区別できる。中部以南の本州四国分布する。肉は美味。はげぎぎ。ぐぐ。漢名、黄顙魚。〔明応本節用集(1496)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ぎぎ」の意味・わかりやすい解説

ギギ
Pelteobagrus nudiceps

ナマズ目ギギ科の淡水魚。ギンギ琵琶湖),ググ(高知県)などとも呼ばれる。ギギ,ギンギなどの名称はとらえられたときなどに,胸びれのとげを体側に直角に立て,これを後方に動かしてその基部の関節面をすり合わせて,ギーギーという音を発することによる。日本の中部地方以西の本州と四国の吉野川に分布。川や湖の岩礁護岸の石垣などの間にすむ。琵琶湖には多く,冬はかなり深所の湖底でも漁獲される。全長15~30cmで雌のほうが小さい。体は細長く,後方は左右に平たい。口ひげは8本。背びれと左右の胸びれにはそれぞれ1本ずつの毒をもった強大なとげがあり,誤ってさされると痛む。脂びれがありその後縁は体の背面から離れている。尾びれの後縁は深く二叉する。夜行性で昼間は物陰に隠れ,夕方から夜間にかけて餌の小動物をあさる。6~7月に石の隙間や穴に寒天質膜に包まれた卵を産むが,卵は多数が集まって卵塊をなす。てんぷら,煮付けなどにして食用にする。朝鮮半島を含むアジア大陸の東部にはよく似た別種コウライギギP.fulvidracoを産する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぎぎ」の意味・わかりやすい解説

ギギ
ぎぎ / 義々
[学] Pelteobagrus nudiceps

硬骨魚綱ナマズ目ギギ科に属する淡水魚。別名ハゲギギ。近縁のギバチやネコギギを含めて、ギーギー、ギューギュー、ギュギュ、ギギタなどともよばれる。静岡県富士川と京都府由良(ゆら)川以西の本州と四国が分布域であるが、伊勢(いせ)湾周辺の河川には別種のネコギギが分布している。河川中流域や湖の大きな石の下に潜み、夜間に活動して大形の底生動物やエビ、小魚を食う。濁り水の出ているときには日中も活動する。5~8月ごろに石の下や石垣の間に産卵する。

 日本には本種のほかにギバチとネコギギが生息している。尾びれ中央の切れ込みの度合いは本種がもっとも深く、ギバチがもっとも浅い。3種ともに、胸びれの棘(とげ)とその付け根の骨をこすり合わせて、ギーギーと独特の音を発する。なお、これら3種の分布域は、日本ではまったく重なっていない。

[水野信彦]


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普及版 字通 「ぎぎ」の読み・字形・画数・意味

】ぎぎ

遅疑・凝滞するさま。また、繁茂するさま。〔漢書、食貨志上〕故に其の詩に曰く、或いは(くさぎ)り或いは(つちか)ふ 黍稷たりと。

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百科事典マイペディア 「ぎぎ」の意味・わかりやすい解説

ギギ

ギギ科の淡水魚。中部以西の本州と四国の吉野川に分布する。暗褐灰色で口ひげが4対。全長15〜30cm。胸びれの部分でギーギーと低い音を出すので,この名がある。煮付,てんぷらなどにして美味。近縁種のギバチは関東以北と九州に分布。ギギと同様に昼間は湖沼や川の岸の近くの岩などに潜み,夜出て採食する。餌は小魚,昆虫など。両種とも背びれと左右の胸びれに毒をもったとげがあり,刺されると痛い。ギバチは絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぎぎ」の意味・わかりやすい解説

ギギ
Tachysurus nudiceps

ナマズ目ギギ科の淡水魚。食用。体長 20cm。体はやや細長く,頭部は円筒形,尾部近くは側扁する。口はほぼ水平に開き,口ひげは 8本。鱗はない。黄色の地に暗灰褐色の斑紋がある。本州中部以西,四国,九州に分布し,湖沼,河川の岸近くの岩場などにすむ。

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世界大百科事典(旧版)内のぎぎの言及

【ヒイラギ(柊)】より

…高知でニロギ,有明海でシバまたはシイラ,岡山でゲッケ,千葉でギラなど地方名も多い。また,三重県二木島でギイギイ,広島県加茂郡でギギと呼ぶが,これは口部の骨を用い,摩擦音を出す習性があることによる。発光器は食道を環状にとり巻くもので,内部に発光バクテリアが共生し,これにより腹側から見たときぼんやりと明るく光る。…

※「ぎぎ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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