日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギラン」の意味・わかりやすい解説
ギラン
ぎらん
Robert Guillain
(1908―1998)
フランスのジャーナリスト。パリ生まれ。パリ大学で政治学を修めたあと、アバス通信社(後のAFP)に入り、中国特派員になったのがアジア専門家としてのスタートであった。1938年(昭和13)アバス上海(シャンハイ)特派員から東京特派員に転じ、第二次世界大戦後まで日本に住み着いて近衛(このえ)、東条時代の敗戦に向かう日本政治を観察。大戦末期は敵国人として軟禁された。1946年に帰国したが、1958~1962年『ル・モンド』紙東京特派員、さらに1969~1976年同紙極東総局長として日本に滞在した。1976年同紙から引退して帰国、以後フリーの立場で筆をとっていた。夫人は日本人。『六億の蟻(あり)』をはじめ多くの著書が邦訳されている。
[伊藤力司]
『井上勇訳『六億の蟻』(1957・文芸春秋新社)』▽『井上勇訳『第三の大国・日本』(1969・朝日新聞社)』▽『根本長兵衛・天野恒雄訳『日本人と戦争』(1979・朝日新聞社)』▽『三保元訳『ゾルゲの時代』(1980・中央公論社)』▽『矢島翠訳『アジア特電 1937~1985――過激なる極東』(1988・平凡社)』