改訂新版 世界大百科事典 「クサヨシ」の意味・わかりやすい解説
クサヨシ
(reed)canarygrass
French grass
Phalaris arundinacea L.
水辺や日当りのよい湿った草地に生えるイネ科の多年草で,草葦(くさよし)の名はヨシに比べて小型で軟らかいことをあらわしている。横にはった地下茎があって,茎はまばらに群生し,直立して高さは1m以上ある。葉は幅広い線形で,長さ20cm弱,幅は1cmくらいで,白っぽい緑色をしている。5~6月に,長さ15cmほどの細めで密な円錐花序を立て,長さ5cm余りの枝は開花時に多少斜開するほかは主軸に並んで立ち,小穂が密生するから,花序はほとんど円柱状に見える。小穂は長さ6mmほど,淡緑色で多少紫色を帯び,1個の小花と2個の退化花穎(かえい)がある。北半球の温帯・冷帯全体に広く分布し,日本全国に見られる。クサヨシは欧米では重要な牧草となっている。また,葉に白い縦線の斑入りになったものがシマガヤ(別名チグサ,シマクサヨシ)var.picta L.(英名ribbon grass)という観賞用植物である。穎果を小鳥の餌にするカナリークサヨシP.canariensis L.やヒメカナリークサヨシP.minor Retz.は地中海地方から来た帰化植物である。
執筆者:小山 鐡夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報