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クティ

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百科事典マイペディアの解説

クティ

ナイジェリアのポピュラー歌手,サックスおよびキーボード奏者。ロンドンに留学後,1960年代初めに音楽活動を開始,1969年に渡米,アフリカ音楽を基調に,ソウル・ミュージックレゲエサンバなどの要素を取り込んだ,アフロ・ビートと呼ばれる独自のダンス音楽を生み出し,1970-1980年代に世界的に人気を博した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クティ
くてぃ
Fela Kuti
(1938―1997)

ナイジェリアのミュージシャン。本名フェラ・アニクラポ・ランサム・クティFela Anikulapo Ransome-Kuti。アナーキーな政治的主張や姿勢で没後も世界中のミュージシャン、DJ、リスナーに多大な影響を与える。
 1991年までは首都だったナイジェリア最大の都市ラゴスの北方の街アベオクタで、ヨルバ系の上流階級の家に生まれる。アベオクタはイギリス人が19世紀に作った街で、ノーベル賞作家ウォレ・ショインカも同じ町の出身。クティの家は反植民地主義的なナショナリストでもある音楽家の多い家系で、祖父は作曲家、両親はピアノを弾くとともにナショナリズムの活動家だった。
 クティは1950年代にロンドンへ向かい、トリニティ音楽カレッジでトランペットと音楽理論を学び、1961年にはバンド、クーラ・ロビトスを結成する。
 63年に帰国。アメリカのジェームズ・ブラウンに歌唱スタイルの似た、シエラレオネのジェラルド・ピノGeraldo Pinoのアフロ・ソウル・ミュージックに影響を受け、このアフロ・ソウル・スタイル、ジャズ、ハイライフ(ジャズからの影響を大きく受けたポピュラー音楽)や伝統音楽を混交させて、アフロ・ビートを生み出していく。
 69年にはバンドを率いて渡米、8か月間にわたりアメリカでツアーを行う。またアフリカン・アメリカンの歴史を学び、ブラック・パンサー党(65年に結成された黒人の解放を目指す急進的グループ)とも接触する。この渡米時に『ザ・'69・ロサンゼルス・セッションズ』を録音している。その後、バンド名をアフリカ'70とし、ドラマーのトニー・アレンTony Allen(1940― )と大人数の管楽器やコーラスなどによってアフロ・ビートを完成させる。バンドは後に40人もの大所帯になり、エジプト'80と改名する。74年、政治腐敗の進むナイジェリア軍事政権を批判し、コミューン「カラクタ共和国」を設立するが、警官隊、軍の襲撃によって母親が殺害され、クティも投獄された。後にこの事件をテーマに『カラクタ・ショー』Kalakuta Show(1976)を発表している。しかし、その後もアフロ・ビートを先鋭化させ、77年にはラゴスで開催されたブラック・アートと文化のフェスティバルに参加、ブラジルのジルベルト・ジルにも出会い、強い影響を与えた。
 またナイジェリアの軍事政権だけではなく、レーガンやサッチャーらの強圧的な政治姿勢への批判も強めたため、85~87年投獄される。その一方で性差別主義者として非難され、86年には28人もの妻を全て離婚している。こうしたさまざまな矛盾の体現も含めて、植民地主義、独立、多民族国家内の民族対立、内戦、軍事政権、アフリカの伝統文化とその抑圧からの解放、一方でのジェンダー問題といった複雑な背景とクティの生涯や音楽は密接に絡み合っている。このような複雑な状況は日本からみると分かりにくいが、国情の違いを超えて人を動かすのが、クティの音楽の力であるともいえる。97年エイズにより死去。しかし、彼の没後も、息子のフェミ・クティFemi Kuti(1962― )が父の志とアフロ・ビートを受け継ぎ、新しい展開を試みている。[東 琢磨]
『マビヌオリ・カヨデ・イドウ著、鈴木ひろゆき訳『フェラ・クティ――戦うアフロ・ビートの伝説』(1998・晶文社) ▽Simon Broughton, Mark Ellington, Richard Trillo World Music Vol.1; Africa, Europe and the Middle East(1999, The Rough Guides, London)』
「『ザ・'69・ロサンゼルス・セッションズ』CD(1993・ビクターエンタテインメント) ▽Ikoyi Blindness/Kalakuta Show(CD, 2002, Wrasse)」

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