ラゴス(読み)らごす(英語表記)Lagos

翻訳|Lagos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラゴス」の意味・わかりやすい解説

ラゴス
Lagos, Ricardo

[生]1938.3.2. サンチアゴ
チリの政治家,経済学者。大統領(在任 2000~06)。フルネーム Ricardo Lagos Escobar。1960年にチリ大学法学部を卒業後,アメリカ合衆国のデューク大学に学び,1966年に経済学博士号を取得。帰国後にチリ大学政治行政学科長を務めたのち,チリ初の社会党大統領であるサルバドール・アジェンデ・ゴセンスから駐ソビエト連邦大使に指名された(→チリ人民連合政権)。しかし指名直後の 1973年,アウグスト・ピノチェト・ウガルテ将軍が率いる軍事クーデターでアジェンデ政権は崩壊,ラゴスの指名が承認されることはなかった。クーデターに伴いアメリカへ亡命。1978年には国際連合エコノミストの地位についた。1980年代初めに帰国し,反ピノチェトの野党連合である民主同盟の代表に就任した。1987年,短期間ながら罪状なく投獄される。同 1987年「民主主義のための政党」を立ち上げた。1988年の国民投票でピノチェトの再選が否決され,1990年パトリシオ・エイルウィンが後継者として大統領に就任すると,ラゴスはエイルウィン政権下で教育大臣を,続くフレイ政権で公共事業大臣を務めた。1999年,チリ社会党キリスト教民主党 PDCを含む政党連合(コンセルタシオン)の大統領候補に指名された。2000年1月の決選投票勝利を収め,アジェンデ以降初めて社会党から大統領の座についた。就任後は,ピノチェト訴追への支持を明言した。めざましい経済成長と民主改革の導入により,在任中は高い支持率を誇った。

ラゴス
Lagos

ナイジェリア南西部の都市。ギニア湾に臨むナイジェリア最大の港湾都市。ラゴス島,イッド島,イコイ島,ビクトリア島などの島や潟,および大陸部のアパパ,エブテメッタ,ヤバ,スルレレの各地域からなる。港はラゴスアパパと呼ばれる。高温多湿で年平均気温 26.3℃。5~9月が雨季。 15世紀ヨルバ族の漁民がラゴス島に集落を築いたのが都市の起源。 1472年ポルトガル人が渡来以後,奴隷貿易の基地となり,16世紀末~19世紀中頃のベナン王国の支配時代もポルトガル人によるアメリカへの奴隷貿易が行なわれていたが,1851年からイギリスの支配力が強まり,奴隷貿易を阻止,1861年イギリスが占領。以後 1866~74年イギリスの西アフリカ植民地の一部,1874~86年ゴールドコースト植民地,1906年保護領南部ナイジェリアの一部となり,1914年南北ナイジェリアの合併に伴いナイジェリア保護領の首都,1954年連邦直轄地,1960年独立とともに首都の地位を継承。以降,1991年新たに建設されたアブジャに遷都されるまでその地位にあった。商工業,文化の中心地でもあり,原油を除く輸出入の大半を扱うほか,鉄鋼,印刷,自動車組み立て,醸造,食品加工,石鹸,清涼飲料,家具などの工業がある。ラゴス島はおもに商業地区,アパパが工業地区。博物館,ラゴス大学,北西のイケジャに国際空港がある。人口 803万 (2002) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラゴス」の意味・わかりやすい解説

ラゴス
らごす
Lagos

西アフリカ、ナイジェリアの都市。1991年12月にアブジャに遷都するまで首都であった。人口134万7000(1992)。同国南西部のギニア湾岸に位置し、ラゴス島、イコイ島、ビクトリア島および本土部分の四地区からなる。ラゴス島は古くから発達した中心地区で、高層ビルに混じって旧総督官邸、ヨルバ人の首長(オバ)の宮殿、国立博物館、大聖堂などがある。イコイ島の南のビクトリア島は、もっとも開発の歴史が浅く、外国人が多く居住する高級住宅地で、ホテルも多い。ラゴス島対岸の本土側には、ナイジェリア最大の貿易量を誇るアパパ埠頭(ふとう)がある。また、北に同国の空の玄関口であるムルタラ・ムハンマド国際空港も立地する。空港周辺にはナイジェリア最大の工場地帯があり、自動車組立て、金属加工、ビール、繊維、タイヤ再生、家具製造、印刷、製靴の工場が建ち並ぶ。この東側にはラゴス大学のキャンパスが広がり、70年の歴史をもつキングズ・カレッジほか、多くの高等教育機関が集まっている。町は15世紀ころポルトガル人が渡来して以来、交易基地として発展した。1861年イギリスの保護領とされ、以後イギリスのナイジェリア支配の拠点となった。1906年南ナイジェリア保護領に編入され、14年南北ナイジェリア保護領が合併されたとき首都に選ばれた。1976年、首都を内陸のアブジャに遷都することが決定され、91年に移転した。地名はポルトガル語で入り江を意味する。

[島田周平]

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