クビル遺跡(読み)くびるいせき

日本歴史地名大系 「クビル遺跡」の解説

クビル遺跡
くびるいせき

[現在地名]上県町佐護北里 友谷

井口いくちより友谷ともやに下る曲り角にある。大正一〇年(一九二一)クビルの尾根沿いの山道銅矛・銅土器などが発掘され、村人届出で帝室博物館に収納された。派遣された後藤守一の調査では板石で囲んだ石棺または石槨とされるが、墳墓以外の宗教的遺跡の可能性もあるとしている。出土した矛は中広一本・広形三本で、銅は他に類例のない珍しく大型のもので、韓国でも例がないといわれたが、類品は天理大学附属天理参考館と平壌博物館にあり、楽浪系の遺物とみられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クビル遺跡」の意味・わかりやすい解説

クビル遺跡
くびるいせき

長崎県対馬(つしま)市上県町(かみあがたまち)佐護(さご)クビル所在の弥生(やよい)時代後期の遺跡。対馬北西部で、韓国(大韓民国釜山(ふざん/プサン)広域市へ直線距離約60キロメートルと、対馬でも朝鮮半島に至近の位置にある地区。1921年(大正10)、雑木林の尾根で青銅製の鍑(かま)1点と銅矛4点などが発見され、帝室博物館(現在の東京国立博物館)に届けられた。平石で築いた組合せ式石棺状の石室内より出土したという。ほかに弥生後期の高三瀦(たかみくま)式の土器片、漢式土器片などが出土した。

[江坂輝彌]


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