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クフ王の船 くふおうのふね

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知恵蔵2015の解説

クフ王の船

古代エジプト古王国時代第4王朝のファラオ(王)であった、クフ(在位紀元前2551~28年・『古代エジプト・クフ王「第1の船」の復元に関する研究―現行復元の検証と新復元案の提示』汐文社より)のピラミッド近くから発見された同時代の木造船。通称を太陽の船という。
カイロの南西13キロメートルのギザ台地にあるいわゆる三大ピラミッドのうち、最大のものがクフ王のものとされている。1954年5月、エジプト考古局のカマル・エル・マッハラは、クフ王のピラミッドの南側堆積土(たいせきど)の除去作業中に、ピラミッドの南18メートルの地点で東西2カ所に、30メートル以上にわたる切り石の列を発見。東側の切り石の下に長さ31.2メートル、幅2.6メートル、深さ3.5メートルの石室があり、中には解体した状態の木造船が収蔵されていた。クフ王の跡を継いだとされるラージェデフ王のカルトゥーシュが石室内壁から見つかったことから、クフ王の葬送に関わるものと推定された。これが、クフ王第一の船と呼ばれ、エジプト考古局の復元技師アハメド・ユセフ・ムスタファによって57~71年の長きにわたって復元作業が行われた。材質はレバノン杉ビャクシンアカシアなどで、長さ42.32メートル、幅5.66メートル、最大高7.3メートル、推定重量約50トンという巨大な船であった。その後更に復元調整などが行われ、82年から一般公開されている。
87年、吉村作治早稲田助教授(現・同大学名誉教授)率いる早稲田大学古代エジプト調査室が電磁波レーダーにより西側切り石下を探索、東側と同じく木材が収蔵されていることを突き止めた。88年にはエジプト考古局とアメリカの調査隊が内部撮影によって部材を確認。このクフ王第二の船発掘は、資金難や国際情勢の悪化などから遅れ、ようやく2011年6月に再開されている。
エジプト神話において、太陽神ラーは船で天空を渡る存在とされている。この船は昼間はマンデトと呼ばれ、東側(生者の国)を航海し、夜はメセクテトと名を変え、西側(死者の国)を航海するとされる。古代エジプトでは王は太陽神の子孫とされ、クフ王の船が太陽の船と呼ばれたのもこのためである。しかし現在では、この解釈がそのまま当てはまるわけではないとして、クフ王の船という呼び方をしている。第一の船の復元者アハメド・ユセフ氏は、クフ王の船は、「現世同様来世においても行われる戴冠(たいかん)式のための船」であろうと推測している。吉村名誉教授は著作の中で、クフ王の船の発掘と復元について「古代エジプト古王国時代の王権に属する人々の死生観を、よりつまびらかにするという学問上の意義を持つ」と述べている。

(椎崎亮子  フリーライター / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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