アカシア(英語表記)Acacia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アカシア
Acacia

マメ科のアカシア属の総称。この類はオーストラリアおよびアフリカを中心とする熱帯地方に数百種知られ,常緑または落葉高木が多い。熱帯では花木として庭園に植えたり並木とするほか,材が堅く耐久性があるので,建築,車材,その他家具材として有用である。またアラビアゴムタンニンなどの原料となるものもある。日本では関東以西の暖地で初夏に花木として栽培され,切り花にもされる。なかでもフサアカシア A. decurrens黄金色の花が直径 1.5cmぐらいの球状に集って枝一面につき非常に美しい。なお,北海道や本州の山地で植えているニセアカシアは別属の植物で,ここでいうアカシアには含まれない。

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デジタル大辞泉の解説

アカシア(acacia)

《「アカシヤ」とも》
マメ科アカシア属の常緑樹の総称。葉は羽状複葉。花は黄色、まれに白色で、多数集まって穂状に咲く。オーストラリアを中心に約650種が分布。ギンヨウアカシアアラビアゴムノキなどが含まれる。
ハリエンジュの俗称。花は白い。にせアカシア。 花=夏》

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百科事典マイペディアの解説

アカシア

マメ科の一属で多くは常緑高木,オーストラリアを中心とし熱帯,温帯にわたって500種以上ある。葉は偶数羽状複葉をなし,非常に小さい葉をもつか,あるいは普通の葉を欠いて葉柄にあたる部分が左右に平たくなって仮葉をなす。花は放射相称で,黄色のものが多いが,まれに白色で,球形の頭状花序または円柱状の穂状花序をなす。花弁は5個だが目だたず,おしべは数十個あり,花の上に長く出ている。豆果は花の割合に大型で扁平。日本にはフサアカシア(アカシア・デアルバタ),ギンヨウアカシア(アカシア・ベイレヤナ),モリシマアカシア,サンカクバアカシア,ヤナギバアカシア,ウロコアカシア,ソウシジュなどが温室か暖地に植栽される。切花に用いられるほか,タンニン,アラビアゴム等をとる有用種も多い。なおいくつかの種類は日本ではミモザともいい,さらにハリエンジュ(別名ニセアカシア)を俗にアカシアともいう。
→関連項目アセンヤクノキアラビアゴムノキオジギソウ

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世界大百科事典 第2版の解説

アカシア【wattle】

マメ科アカシア属に含まれる500種以上の種類の総称名である。ほとんどの種類は常緑性の大高木から小高木で,しばしばとげを有している。日本ではアカシア類をミモザと通称するが,これはイギリスで,フランス南部から切花として輸入されるフサアカシアがミモサmimosaと呼ばれることから来たものである。しかし,植物学的にはオジギソウ属Mimosaがミモサと呼ばれるもので,おしべが4~10本あり,おしべが多数のアカシア属とは区別されるべきものである。

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大辞林 第三版の解説

アカシア【Acacia】

マメ科アカシア属の植物の総称。アフリカ・オーストラリア原産の常緑高木。葉は羽状複葉。初夏、黄色のまるい頭花を総状につける。観賞用のアカシアはギンヨウアカシアが主。
ハリエンジュ(ニセアカシア)の俗称。アカシアとは属が異なる。日本では多くこれを「アカシア」と呼ぶ。 〔「アカシアの花」は [季] 夏。「金合歓」とも書く〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アカシア
あかしあ
[学]Acacia

マメ科アカシア属の樹木の総称。日本で一般にアカシアとよぶのは本属とは別で、ハリエンジュ属Robiniaのニセアカシアのことをさす。本属はオーストラリアに多く、アフリカ、アラビア、アメリカなどの熱帯、亜熱帯に約650種分布する。常緑樹で、葉は互生し、小葉の小さい2回羽状複葉の葉をもつか、または、葉柄が平たく変形した仮葉が単葉状になる。花は小球形の頭状に集まり総状花序をなす。花弁は小さく、花弁よりはるかに長い雄しべが多数あって目だつ。果実はさやになり、数珠(じゅず)状または円筒状。一般に根粒菌をもち、やせ地でもよく育ち、日本でも数種が観賞用に暖地で栽培されている。種子は堅いので熱湯処理すると発芽しやすい。[小林義雄]

種類

フサアカシアA. dealbata Link.はオーストラリア南部、タスマニア島原産で、葉は2回羽状複葉で羽片は13~25対あり、初め銀白色で後に灰緑色になる。2~3月に濃黄色頭状の花球が30個以上ついて開く。切り花用や庭木に植え、東京でも寒風を避ければ戸外で越冬する。ギンヨウアカシア(ハナアカシア)A. baileyana F. v. Muell.はオーストラリア原産で、葉は銀灰色の2回羽状複葉で3~4対の羽片がある。2~3月に鮮黄色の花球を多数つけ、切り花用に栽培され、ミモザmimosa(フランス語)とよばれている。葉柄が変形した仮葉をつけるサンカクバアカシア、メラノキシロンアカシア、モリシマアカシアなども栽培されている。本属には有用植物も多く、ソウシジュ、アラビアゴムノキなどがある。[小林義雄]

利用

木材や観賞用以外にも用途は広く、アラビアゴムノキ(アカシア・セネガル)A. senegal (L.) Willd.の幹の分泌物からはアラビアゴムがとれる。同類に東アフリカのステノカルパA. stenocarpa Hochst.、南アフリカのホリダA. horrida Willd.、アラビアのアラビカA. arabica Willd.、オーストラリアのデアルバータA. dealbata Link.などがある。またインドのアセンヤクノキA. catechu Willd.の材の煮汁からはカテキュー(阿仙薬(あせんやく))がとれ、収斂(しゅうれん)剤や止血剤、なめし皮料や染料(黒と茶色)に利用される。ほかにキンゴウカン(金合歓)A. farnesiana (L.) Willd.やカベニアA. cavenia Bert.の花からは香水がつくられ、ピクナンサA. pycnantha Benth.はゴールデン・ワッツルとよばれてオーストラリアの国花になっている。アカシアの多くは荒れ地の緑化に適し、なかでも深根性のセヤルA. seyal Delileは乾燥地の緑化に有望である。また乾期に茂り雨期に落葉するアルビダA. albida Delileは、熱帯地域での乾期における飼料として注目されつつある。[湯浅浩史]

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世界大百科事典内のアカシアの言及

【豆】より

…どちらもマレーからインドネシアにかけての村や,その近くに栽植され,利用されている。アフリカのサバンナ林域にはアカシアAcaciaをはじめ多数のマメ科樹木が,分化しているが,それらのなかで食用とされるものがいくつかある。このサバンナ系のマメ科樹木で,インドや東南アジアに広く栽培されるものにタマリンドがあり,しばしば街路樹や公園樹とされるが,インドでは重要な食用樹でもある。…

【ワトル】より

…マメ科の主としてモリシマアカシアAcacia mollissima Willd.(英名black wattle)の樹木,またはそれからとったタンニンをいう。樹皮を熱水で煮だし,水分を除くと,エキスが残る。収率は30~40%。エキスのタンニン含量は70~80%にも及ぶ。南アフリカ共和国が世界のワトル生産のほとんどすべてを賄う。ワトルは動物の皮をなめすのに使われるだけでなく,化学的に変性して,接着剤,貯水池の浄化剤などにも使われる。…

【ニセアカシア】より

…日本には明治はじめころ渡来した。じょうぶで生長が早く,アカシアの俗称で,街路樹,砂防用などとして広く植えられた。根から萌芽する性質が強く,しばしば野生化している。…

【豆】より

…どちらもマレーからインドネシアにかけての村や,その近くに栽植され,利用されている。アフリカのサバンナ林域にはアカシアAcaciaをはじめ多数のマメ科樹木が,分化しているが,それらのなかで食用とされるものがいくつかある。このサバンナ系のマメ科樹木で,インドや東南アジアに広く栽培されるものにタマリンドがあり,しばしば街路樹や公園樹とされるが,インドでは重要な食用樹でもある。…

※「アカシア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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