アメリカ北部湿地帯原産の小果樹で,ツツジ科の半常緑草状低木。インディアンたちが利用していた野生種を改良し,今日ではマサチューセッツ,ウィスコンシンなど5州で大規模に栽培されている。ヨーロッパでも作り始めているが,日本ではまだである。高さ10~20cmくらい。茎はつる状ではい,直立茎から出た釣針形の花茎(フック)に着花し,秋,指頭くらいの球形赤色果をつける。フックに花つぼみのつくさまがツル(クレーンcrane)の首と頭とくちばしに似ることからクランベリーの名がある。植付けは畑につるをばらまいて機械的に挿木し,4年目から生産に入る。収穫は昔はくし歯つきの手道具ですき集めたが,最近は機械収穫によりトラックで大選果プラントに運ばれる。ピルグリム・ファーザーズにちなんで,アメリカではいまも収穫感謝祭やクリスマスのシチメンチョウ料理にはかならずクランベリーソースが添えられる。生果販売のほか,天然の美しい赤色とさわやかな風味を生かしたジュース,カクテル,プリザーブ,またリンゴやブドウとのミックス製品も多い。近縁種としてはツルコケモモ,ヒメツルコケモモが日本にも産する。
執筆者:松井 仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑藤本(とうほん)。つるは数メートルにも及び地をはう。葉は長楕円(ちょうだえん)形、先は丸く、長さ1.2センチメートル、幅0.6センチメートル。初夏のころ、花は短い上向きの短枝の葉腋(ようえき)から出る花柄上に単生する。花柄は2枚の包葉をもち、短毛がある花冠は深く切れ込み、満開時に反転する。果実は液果で丸くやや長め、直径1.0~1.5センチメートル、濃桃色から赤色を呈する。砂糖煮、ゼリー状ソース、パイ、果汁などに加工する。アメリカ北部の湿地帯原産で、酸度の高い泥炭地でよく育つ。品種ではバーグマンやウィルコックスなどが優れている。染色体数は2n=24であるが、近縁種に2n=48、72のものがある。
[飯塚宗夫 2021年4月16日]
英語のクランベリーはツツジ科のツルコケモモ、ヒメツルコケモモ、オオミツルコケモモ、アクシバなどをさす。
[編集部 2021年4月16日]
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…【山崎 敬】。。…
…また最近は乳製品と組み合わせ,アイスクリーム,ヨーグルトに混ぜたりする。近縁種のツルコケモモV.oxycoccus L.やクランベリーは,草状で地上茎がつる状にはう。クランベリーは北アメリカに原生し,果実は指頭大で豊産のため,アメリカで大産業に発展し,ヨーロッパにも増えつつある。…
※「クランベリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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