コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

クレー射撃競技 クレーしゃげききょうぎclay pigeon shooting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クレー射撃競技
クレーしゃげききょうぎ
clay pigeon shooting

散弾銃射撃競技のなかで最も普遍的な競技。放出機から放たれたクレーピジョン (直径 11cmの皿状の標的) をねらい撃ち,命中数を争う。トラップとスキートの2種目がある。トラップ種目は,射手が5ヵ所の射台を移動しながら,正面 15m先に設けられた3台の放出機から遠方に向けて発射される計 25個のクレーを撃つ。クレー1個につき2発撃てるが,クレーがどの放出機から,どの角度,どの方向に放たれるのか,射手にはわからない。3台の放出機から同時に放出される2個のクレーを撃つダブルトラップ種目も,1996年のアトランタ・オリンピック競技大会からオリンピック種目に採用された。日本では銃器の所持が規制され,経費もかさむため,競技人口は少ない。 (→スキート射撃競技 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クレー射撃競技
くれーしゃげききょうぎ
clay target shooting

散弾銃(ショットガン)による標的射撃。競技会では空中を飛翔(ひしょう)するクレー標的を、1ラウンドで25枚射撃し、4~9ラウンド(大会により指定)で割れた合計数を競う。時速80~120キロメートルで飛ぶクレー(直径11センチメートル、厚さ25ミリメートルの素焼きの皿)を、音速の約1.2倍の弾速の散弾で撃破する、スピードとスリルに富んだ競技で、瞬間の判断力、集中力そして身体能力が高度に発揮されるスポーツである。
 クレー射撃の起源は古く、1790年ごろにはイギリスのハイゲート地方でアオバトを放って射撃するゲームが行われているが、1856年、ハンティングフィールド卿(きょう)が前方に置いた籠(かご)にアオバトを入れ、助手が遠方から紐(ひも)で扉を開いて放鳩し、これを射撃する競技を考案した。この方法はアオバト射撃(ブルーピジョン・シューティング)とよばれ、イギリスをはじめモナコなど数か国の一部愛好家による豪奢(ごうしゃ)なゲームとして続けられていた。
 その後アオバトの不足と、競技の大衆化を図るため、ガラス玉を代用したが、1880年アメリカで今日のようなクレー・ピジョンが発明されて大流行し、1900年の第2回オリンピック・パリ大会の正式種目に採用されたのを機会に、ヨーロッパそしてアメリカでも盛んに行われるようになった。日本での散弾銃射撃は、横浜外国人居留地内でスズメの放鳥射撃が行われたのが、動的射撃のおこりとされており、1878年(明治11)、横浜放鳥会が結成され、同年、鶴見村射撃場にて第1回放鳥射撃大会が開催された記録がある。やがてアメリカからクレー標的とハンド・トラップ(手投げ放出機)が輸入され、クレー射撃の愛好者も全国的に増え、各地に常設射撃場が設置されていった。1922年(大正11)に日本最初の全日本クレー射撃大会が開催された。現在、同競技は社団法人日本クレー射撃協会が統轄し、各種公式大会の開催、国民体育大会への参加、国際競技・オリンピック競技大会への選手派遣、記録の公認などを行っている。[小橋良夫・日本クレー射撃協会]

競技種目

主要なものにトラップ射撃trap shootingとスキート射撃skeet shootingの2種目がある。
 トラップ射撃は、6人の射手が1組で競技する。まず5人の射手が1人ずつ放出機を納めたトラップハウス後方15メートルの射台上に立ち、6人目の射手は1番目の射台を受け継ぐように待機する。クレーは射手がコールすると放出され、各射手は前の射手の射撃後10秒以内に各射台で1個ずつ合計5個のクレーを撃ち、全員が各射台を5回巡り1ラウンド(25個)を終了する。クレーは、射手のコールによって、クレーハウス内の3組の放出機のうち一つから高低不定、左右45度以内の空中に放出され、1発目が失中した場合、2発目の追射が認められる。クレーはコンピュータシステムによってどの方向へ放出されるか射手にわからないようになっている。またクレー標的の飛行速度が散弾競技のなかではもっとも速く設定されており、競技のおもしろさと難易度を上げている。使用銃は口径12番(約18.5ミリメートル)以下の散弾銃で、散弾直径2.5ミリメートル以下の7.5号装弾を使用する。射撃距離も遠距離となるため、銃身長30インチ程度の銃が使用される。国体など国内の公式大会では4ラウンド・100個撃ち、全日本選手権大会、本部公式大会は予選8ラウンドと決勝1ラウンドの計9ラウンド・225個撃ちが普及しているが、オリンピックや世界選手権大会では、男子は予選5ラウンドと決勝1ラウンドの計6ラウンド・150個撃ち、女子は3ラウンドと決勝1ラウンドの計4ラウンド・100個撃ちで勝敗が決められる。
 スキート射撃は、半径19.2メートルの円弧上に置かれた1番から8番までの射台に立ち、左右に設置されたハイハウス(プールハウス、3.05メートル)とロウハウス(マークハウス、1.0メートル)の放出機から、交互または同時に放出されるクレーを撃つ近距離射撃で、1910年アメリカで生まれ、発達した競技である。標的はトラップ競技と同じクレーであり、同じく口径12番の散弾銃を使用するが、近距離射撃のため銃身長28インチのスキート専用銃と散弾直径2.0ミリメートル以下の9号装弾が使用されている。競技は、6人の射手が1組となり、1番射台から撃ち始め、6人が一つの射台で全員終了したあと、次の射台に移動して8番射台まで1人合計25個を撃って1ラウンドを終了する。射手は前の射手の射撃終了後15秒以内にコールしなければならない。スキートはトラップと比べて放出される角度が一定で速度も遅めに設定されており、また近距離射撃であるため、クレーの飛行進路の予測はトラップよりも容易であるといわれている。しかし、スキートは1個のクレーに1発しか撃てない、各射台によってクレー放出は1個の場合と2個左右同時に放出される場合がある、最初から頬付(ほおづ)けした射撃姿勢がとれずコール後のクレー放出と同時に腰まで降ろしている銃床尾を持ち上げ肩付けをし射撃をする、国際ルールではコール後約3秒間にクレーがいつ放出されるかわからないようにタイマーが設定されている等により、競技のおもしろさと難易度を高めている。
 トラップ射撃は1900年第2回オリンピック・パリ大会から、スキート射撃は1968年第19回メキシコ大会からそれぞれ正式種目として採用され、日本は1956年(昭和31)第16回メルボルン大会から参加した。[小橋良夫・日本クレー射撃協会]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のクレー射撃競技の言及

【射撃競技】より

…36年には大日本射撃協会が設立されて,国際射撃連合に加盟し,国際的スポーツ競技として発展した。その後53年に大日本射撃協会が改組され,クレー射撃競技,ランニングターゲット競技を統轄する社団法人日本クレー射撃協会,ライフル射撃競技,ピストル射撃競技を統轄する社団法人日本ライフル射撃協会に分かれ,今日に至っている。 オリンピックには第1回大会から正式種目となっており(クレー射撃は第2回から),第2回大会のクレー射撃競技では,標的として実際に鳩を使っていた。…

【的】より

…運動的には空中射撃用,地上射撃用,海上射撃用などがあり,空中射撃の的には放鳥とクレー・ピジョン(粘土の鳩)が用いられる。生鳥とクレーとでは価格がひじょうにちがうので,今日のクレー射撃競技ではクレーを使うが,これは濠(ごう)の中にすえつけたトラップで放出したり,別に高塔を設けてその塔上から放出する。地上射撃には,機械装置によって地上を左右に運動する的があり,多くは野獣の形が用いられる。…

※「クレー射撃競技」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

クレー射撃競技の関連キーワード生鳩射撃競技

今日のキーワード

だまし面接

企業が面談や懇談会と称して就職活動中の学生を呼び出し、実質的には学生を選考する偽装面接のこと。2016年卒業の大学生に対する選考活動の開始時期を、従来の4月1日から8月1日以降へと後ろ倒しする主旨の「...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

クレー射撃競技の関連情報