クロムメリン(英語表記)Andrew Claude de La Cherois Crommelin

改訂新版 世界大百科事典 「クロムメリン」の意味・わかりやすい解説

クロムメリン
Andrew Claude de La Cherois Crommelin
生没年:1865-1939

イギリスの天文学者。1886年ケンブリッジ大学を卒業し,91年にグリニジ天文台に職を得,その後1927年に退職するまでの36年間,同所において経緯儀による月の位置観測を手始めに,赤道儀による星のえんぺいやすい星の位置観測を続けた。その後は小惑星やすい星の軌道計算や位置推算にも従事して,やがて新発見天体の軌道の決定や予報位置の計算者として著名になった。1907-08年にはカウエルP.H.Cowellに協力してハレーすい星の回帰運動を前240年にまでさかのぼって追跡して古代の観測記録と対応させ,また1910年の回帰について計算した予報位置は,実際の近日点通過の日時より3日早かったにすぎない。この功績によってふたりはドイツ天文学会からリンデマン賞を,またオックスフォード大学からは名誉学位を贈られた。この計算に使われたのは〈カウエル法〉として知られる特別摂動論である。ふたりの共同研究は木星の第8衛星のきわめて複雑な運動にも向けられた。19年5月29日の皆既日食観測にブラジルに遠征し,アフリカギニア湾プリンシペ島に遠征したエディントンとともにアインシュタイン効果を立証したことも大きな功績である。

 クロムメリンは1891-1937年にわたって,王立天文学会機関誌に小惑星の毎年の出現概況を記載した。また1916年からはすい星を追加した。1929-31年王立天文学会長,また1904-06年にはイギリス天文協会の会長を務めた。
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