天体望遠鏡の架台の一形式。地球の自転の反映として、天体は天の南北極を中心として東から西へ回転する。この天体を追尾するには、地軸と平行に設けた極軸の周りに望遠鏡を回転させることが、もっとも簡単な方法である。任意の方向に向けるために、極軸と直交する赤緯軸を設け、さらにこれに直角に望遠鏡を取り付ける。両軸を回していったん天体に望遠鏡を向けると、あとは極軸の周りに等速度で駆動するだけでよい。商用電源で同期電動機を回すものが多い。
赤道儀は、極軸の支え方と赤緯軸の配置によっていろいろな形式に分かれる。極軸の端に赤緯軸をもつドイツ式、極軸を両端で支え、中間に赤緯軸を置くイギリス式、その極軸を中間で二つに分け、その間に望遠鏡を置くヨーク式、これを片持ちにしたフォーク式、極のまわりも観測できるようにヨーク式の上側軸受を馬蹄(ばてい)形にした形式のものなどがある。ドイツ式は比較的小型のものに、馬蹄形軸受は大型望遠鏡に用いられる。赤道儀は天体の追尾が容易に行えるので、小型望遠鏡から大型望遠鏡まで広く用いられている。しかし大型光学望遠鏡や電波望遠鏡では、重力に対して対称性のよい経緯台式架台が採用される方向にある。
[西村史朗]
『天文ガイド編集部編『ポータブル赤道儀の作り方』(1979・誠文堂新光社)』▽『藤井旭著『藤井旭の天体望遠鏡ガイド』(1990・誠文堂新光社)』▽『天文ガイド編集部編『天体望遠鏡の作り方2 機材のチューンナップからポータブル赤道儀まで』(1999・誠文堂新光社)』
天体の日周運動を追尾するための回転軸をもった天体望遠鏡の架台。架台に設置した望遠鏡も含めて赤道儀と呼ぶ場合もある。地球の自転運動のため,天体は東から西へ時々刻々と高度,方位角をかえている。望遠鏡をある天体に向けてもすぐに視野をはずれてしまう。望遠鏡の架台に,地球の自転軸に平行な極軸をもうけ,これと直交した第2軸である赤緯軸をつけ,望遠鏡をこの軸にさらに直交して取りつける。直交した2軸で望遠鏡は自由にどの方向にでも向けることができる。ある天体を捕捉(ほそく)したら,赤緯軸は固定し,極軸だけを地球の自転速度と等速に東から西回りに回転すれば,望遠鏡はその天体を追尾して,長時間にわたる観測が可能となる。赤道儀の原理は,1629年にC.シャイナーが初めて太陽観測に使用し,1825年,J.vonフラウンホーファーがドルパト天文台に建設したものでほぼ完成の域に達した。
執筆者:冨田 弘一郎
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