大企業や金融会社や銀行,持株会社等が運転資本調達のために公開市場で発行する短期の譲渡可能な無担保割引債券。CPと略称する。アメリカで生まれたもので,植民地時代に商取引にもとづいて振り出される約束手形として出現するが,1920年代以降は商取引とは無関係の単なる短期金融手段となり,60年代後半以降急成長をとげて今では短期金融市場(マネー・マーケット)でTB(短期財務省証券)に次ぐ存在となっている。CPの券面額は通常10万ドルの倍数であるが,平均買付額は約200万ドルである。CPは一定の割引額を差し引いた金額で投資家に販売され,満期日に券面額がCPの持参人に支払われる。満期は数日から270日までだが,20日ないし40日というのが一般的である。金融会社や銀行持株会社等の発行者が投資家に直接売り出すのがダイレクト・ペーパー,事業会社のような発行者が証券会社・銀行からなるディーラー経由で,一定の手数料を払って売り出すのがディーラー・ペーパーである。いずれの場合も,発行者は一定ランク以上の格付けや銀行からの予備的与信枠の取付け等が必要となる。CPの大口投資家は年金基金や保険会社やマネー・マーケット・ファンド(MMF)や大企業である。
アメリカ以外ではカナダやユーロ市場(ユーロCP)でCPが発行されているが,70年ころには日本の企業の現地法人もアメリカでCPを発行するようになり,日本でも87年11月から発行が開始され(手形額面1億円以上,期間は2週間~9ヵ月),93年には証券取引法上の有価証券と位置づけられた。
執筆者:松井 和夫
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(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)
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