改訂新版 世界大百科事典 「コークス炉ガス」の意味・わかりやすい解説
コークス炉ガス (コークスろガス)
coke oven gas
略称COG。石炭をコークス炉で乾留したときに得られるガス。その発生量は石炭1t当り約300~400m3である。発熱量はおよそ5000kcal/m3で,その主要な成分は水素50~54%(容量,以下同様),メタン30~33%,一酸化炭素6~8%,エチレンなどの炭化水素2~4%などである。コークス炉ガスの一部はコークス炉用燃料として用いられるが,製鉄所ではその所内燃料として,ガス工場では都市ガスに,また化学工場では化学原料として用いられる。なお製鉄所におけるコークス炉ガス発生量は非常に大きく,1日当りの銑鉄生産量1万tに相当するコークス炉からのガス量は210万m3で,その内訳は水素110万m3,メタン65万m3などである。これは化学原料として使用するのに十分な経済単位に達しており,コールタールなどから生産される芳香族炭化水素と組み合わせて,いわゆる製鉄化学事業に用いられる。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報