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サチュリコン Satyricon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

サチュリコン
Satyricon

ローマの作家ペトロニウスの作とされる小説。散文に韻文の交ったメニッポス風サトゥラの形式で,2人の悪漢エンコルピウスとアスキュルトスおよび従僕ギトンの南イタリアの町々への冒険旅行を物語る。数多い逸話のなかで現存する有名なものは「トリマルキオの饗宴」 Cena Trimalchionisで,奴隷上がりの成金トリマルキオが催す豪勢な宴会に主人公たちも招かれ,富の誇示,家の装飾,贅沢な料理,客たちの滑稽な会話,軽薄でお人よしのトリマルキオの酔態などがきわめて写実的に,また風刺的に描かれる。おおかみに化ける男,子供をさらってわら人形の替え玉を代りに置いてくる魔女,エフェソスの寡婦と兵士の恋愛などの挿話も含む。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サチュリコン
さちゅりこん
Satyricon

ローマの詩人ペトロニウス作とされる古代の悪漢小説(ピカレスク)。エンコルピウスという若者がいかがわしい2人の同伴者とともに南イタリアを主舞台にさまざまな冒険を行う物語。現存するのはそのごく一部とみられ、解放奴隷出身の俗悪な成金トリマルキオの邸宅の宴会場面が主要部をなし、別名『トリマルキオの饗宴(きょうえん)Cena Trimalchionisともよばれる。散文を主体としながら、同時代の叙事詩のパロディーと思われる韻文が混じる「メニッポス風」とよばれる特異な文体で書かれている。ギリシア伝奇小説をもじったもので、下層社会への異常な関心と俗物への痛烈な風刺で一貫し、ネロ帝治下ローマ社会の卑猥(ひわい)な一面が生々しく描き出される。ローマ文学史上異色の作品として知られるだけでなく、作中の人物が口にする卑俗な会話は希少なラテン俗語資料として重要である。[松本克己]
『岩崎良三訳「サテュリコン」(『世界文学大系64』所収・1964・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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