アルゼンチンの小説家、評論家。ラ・プラタ大学で物理学博士号を取得し、パリのキュリー研究所で放射線の研究に従事する一方、ブルトンらシュルレアリストと交遊。1940年に帰国して母校で理論物理学を教えるかたわら、文芸雑誌『スル』への寄稿がもとでボルヘスとの親交が始まる。政治的・文学的立場の違いから一時期反発するが、やがて和解し、ボルヘスとの対談集『対話』(1976)を出すまでになる。一方、1945年、ペロン独裁に反対したため職を追われて生活に行き詰まりユネスコで働くが、その官僚的な仕事に疲れ自殺を考える。そんなときに起稿した作品、愛する人妻を殺した画家の心理を描いた実存主義小説『トンネル』(1948)で国際的名声を得る。その後、若い男女の触れ合いを軸にアルゼンチンの総体を描いた長編『英雄たちと墓』(1961)、そのテーマを深化させた『破壊者アバドン』(1974。フランスの最優秀外国小説賞受賞)を発表。この3作をもって小説を書くことをやめるが、『人と宇宙』(1945)から『抵抗』(2000)にいたるまで、数多くの評論集で人間と文化を論じ続けた。なお、1984年にはスペイン語圏のノーベル賞といわれるセルバンテス賞を受賞。
[安藤哲行]
『高見英一訳『トンネル』(1977・国書刊行会)』▽『安藤哲行訳『英雄たちと墓』(1983・集英社)』
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…すなわち,彼女(彼)らは悪魔と契約し,さまざまな手段を用いて社会に混乱(疫病,悪天候,不作など)をもたらす。深夜,箒にまたがって森や野や山岳に集い,魔女集会(サバト)を開く。そこでは悪魔との性的なオージーが繰り広げられる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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