生野菜、ゆでた野菜、または下調理された魚貝類、獣鳥肉類などをサラダ用ソースで和(あ)えるか、またはソースを添えて供する冷製料理である。正餐(せいさん)では最終の肉料理のあとにとる。スープから最終の肉料理まではタンパク質と脂肪に富んでいるが、炭水化物に乏しく、加熱料理が主でビタミン類も不足しがちなので、これを補うためにも、献立上たいせつな役割をしている。前菜、冷製料理、サンドイッチなど応用面の広い料理である。
サラダの語源は、ラテン語のサルsalからきており、塩、つまり塩味をつけたという意味を表す。昔の人が野菜に塩をふりかけて食べたのが現在のサラダの始まりであるという。
[小林文子]
(1)単純なサラダsimple salad(英語)salades simples(フランス語) 新鮮な野菜、レタス、トマト、キュウリ、セロリなどの1種類、または風味と色どりのために2~3種類を組み合わせて、フレンチソース(ソース・ビネグレット)をかける。
(2)混合サラダcombination salad(英語)salades composées(フランス語) 生野菜、ゆでた野菜(ニンジン、ジャガイモなど)、魚、卵、鶏肉、エビ、カニ、ハム、果物など色どりよく混ぜ合わせてつくる。味の調和さえよければ、材料の種類に決まりはない。ソースはソース・ビネグレットだけではなく、マヨネーズやこれらを土台にして変化をつけたソースを使う。単純なサラダに比べ味や質も濃厚で、前菜としても使える。
[小林文子]
サラダは用途に応じて使い分ける。
(1)食前のサラダ オードブルがわりに食事の前に食べるサラダで、よく冷やした簡単なフルーツサラダや野菜のサラダが適当。なかでもニース風とよばれるトマトとアンチョビーをたくさんあしらったものが、南フランスを中心に有名である。盛り付けは量を加減して色や形に気を配り、見た目に美しくする。
(2)メインディッシュのサラダ 野菜、果物、牛肉、豚肉、鶏肉、魚、貝、麺(めん)類などを用いたサラダで、味もやや濃厚になる。これだけで主料理になるほどの量、味、栄養がある。とくに夏の手軽な食事には冷やしたサラダが最適で、たとえばビーフサラダ、チキンサラダ、クラブミートサラダ、マカロニサラダなどがある。
(3)付け合わせのサラダ 肉、魚の濃厚な味に対して、新鮮な野菜や果物などさわやかな風味で、料理を引き立たせるサラダである。生野菜や果物などが中心となるが、ゆでたジャガイモやサヤインゲンなどを使うこともある。主料理の内容や季節を考えて、サラダの材料を選ぶことがたいせつである。
(4)食後のサラダ 料理の最後を引き締めるサラダである。さっぱりと口当りがよく、胃にたまらないもので、しかも前の料理と材料の味が重ならないように選ぶ。
[小林文子]
なまのまま食べるサラダは、料理法が単純であるだけに、材料は新鮮で、みずみずしいものを選ぶことが第一である。中性洗剤で洗ったあとは、とくに流水でよく洗い、水をよくきることがたいせつである。レタスなどは水で洗ったあと、水きり用の金網に入れてよく振るか、ふきんで軽くふく。ニンジンやキャベツのせん切りは、氷水につけると張りが出る。しかし、切ってから長時間水にさらすと、うま味がなくなる。レタスは、金けが味を落とすので、手でちぎるほうがよい。とくに水分の多い材料は、酢洗いして水けをとる。材料も器具も食べる直前まで十分に冷やしておき、食卓に出す直前にソースで和える。盛り付ける器に、ニンニクの切り口を軽くなでつけると、サラダに香りが移っておいしくなる。サラダには金属性の器、サーバー(大形のスプーン、フォーク)は避ける。
[小林文子]
(1)フレンチソースfrench sauce(ソース・ビネグレットsauce vinaigrette) サラダオイル、フルーツ・ビネガー、レモン汁、塩、こしょうで調味する。タマネギ、パセリ、クレソン、ショウガ、ワサビ、からし、生クリーム、パプリカ、蜂蜜(はちみつ)、各種チーズ、エストラゴンなどを加えてつくると千差万別のソースができる。
(2)マヨネーズソースmayonnaise sauce サラダオイル、酢、塩、洋がらし、砂糖、卵黄などを材料にしてつくったソース。このソースも、トマトケチャップ、ホウレンソウからつくった葉緑素などを加え、ピンク色、緑色にして変化をつけることもできる。ソースは十分冷やして使うこと。
[小林文子]
西洋料理の一種。英語はsalad,フランス語ではsalade。生野菜を塩,酢,油などで調味したものを基本とするが,ゆでた野菜や卵,あるいはチーズ,肉,魚,果物など材料に制限はなく,材料とドレッシング(調味用ソース)の組合せで種類は多い。生の野菜だけを材料とするグリーンサラダは肉料理の付合せなどとされ,野菜以外のものをも取り合わせたサラダはメーンディッシュ(主要料理)にもなり,量を少なくしてオードブルにもされる。また,果物を砂糖,リキュールなどであえたフルーツサラダはデザートなどに用いられる。
サラダはラテン語のsal(塩),salare(加塩する)に起源をもつ語で,このことはサラダの原形が生野菜に塩をふりかけて食べる方法にあったことをうかがわせる。14世紀末には,英王リチャード2世の料理長が,パセリ,セージ,ネギ,クレッソン,ウイキョウ,ニンニク等にオリーブ油と酢,塩をふりかけて食べる方法を記しており,17世紀後半には野菜以外に鶏肉,魚,エビなども用いるようになった。また,献立にフルーツサラダが見られるようになったのは,18世紀の終りごろからだという。
サラダに用いるドレッシングの代表的なものは,ビネグレットソースとマヨネーズソースである。ビネグレットソースは,フレンチドレッシングともいい,サラダ油またはオリーブ油3に果実酢1を合わせ,塩,コショウ,マスタードで味をととのえる。これにタマネギ,エストラゴン,パセリのみじん切りを加えてラビゴットソースにしたり,すりおろしたホースラディシュや半立ての生クリーム等を加えて変化をつけることもある。マヨネーズソースはそのまま使うほか,キュウリのピクルス,タマネギ,ゆで卵,パセリのすべてをみじん切りにして加えたタルタルソースや,ケチャップ,チリソースで風味を添えたサザンアイランドドレッシングにして用いることも多い。
グリーンサラダは,レタス,サラダナ,チコリー,エンダイブ,クレッソンなどを適当の大きさに切るかちぎるかして,ビネグレットソースを添える。塩漬のオリーブの実やケーパー,ナッツ類,パセリ,ラディシュなどを加えてアクセントをつけるのもよい。ニース風サラダは,ゆでて適当な大きさに切ったジャガイモ,サヤインゲン,卵を,キュウリ,トマト,セロリ,アンチョビー,オリーブの実などと混ぜ合わせ,ニンニクをきかせたビネグレットソースであえる。マセドアーヌサラダは,ニンジン,カブ,ジャガイモ,サヤインゲンなどをさいの目に切ってゆで,マヨネーズソースであえるもので,マセドアーヌはさいの目切りの意。そのほか主材料によって,カニサラダ,チキンサラダなどと呼ばれるものも多い。サラダ作りのポイントは,新鮮な材料を選ぶこと,材料も器具も十分に冷やし,食べる直前にドレッシングであえることなどである。
執筆者:辻 静雄
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