セネガルの政治家、詩人。旧フランス領西アフリカにおける民族・文化運動指導者。セレル人商人の家に生まれ、ダカールのカトリック系学校で学んだあと、パリ大学で文学を学び教授資格を取得し、トゥールおよびパリで教鞭(きょうべん)をとる。第二次世界大戦中、フランス軍に参加したがドイツ軍の捕虜となり、1942年釈放後はレジスタンス運動に加わった。大戦終結後、フランス制憲議会議員、フランス国民議会議員に選出され、フランス社会党と連携しながら、「アフリカ社会主義」を目ざして、西アフリカの独立運動を進めた。同時期、『影の歌』(1945)、『ナエットのための歌』(1948)などの詩集を発表するほか、パリで『プレザンス・アフリケーヌ』誌を創刊(1947)、黒人文化の創造性を主張する「ネグリチュード」運動を進めた。1959年にフランス領スーダン(現マリ)とともにマリ連邦を結成し、翌1960年に独立、モディボ・ケイタが大統領、サンゴールが連邦議会議長となった。しかし、両者間の対立によって、マリ連邦は3か月で崩壊、サンゴールはセネガル共和国の初代大統領になった。その後、1980年まで大統領を務め、親西欧的外交政策をとり、穏健な社会改革路線をとり続けた。1983年アフリカ人として初めてアカデミー・フランセーズの会員に選ばれた。
[中村弘光]
『日本セネガル友好協会編・刊『レオポルド・セダール・サンゴール詩集』(1979)』▽『登坂雅志訳編『ブラックアフリカ現代詩選』(1993・花神社)』▽『Janice S. SplethLeopold Sedar Senghor(1985, Twayne Publishers, Boston)』
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西アフリカ,セネガルの政治家,詩人,思想家。パリ大学を卒業し,アフリカ人では初の中・高等教育教授資格を取得,トゥール,パリの高校で教壇に立った。第2次大戦中対独レジスタンスに参加し,戦後フランス制憲会議にセネガル代表として参加(1945-46)したのを契機に本格的政治活動を開始した。フランス第四共和政国民議会のセネガル代表議員(1946-58),フォール内閣国務相(1955-56)などを歴任し,かたわらフランス海外国民学校教授(1948-58)も務めた。1960年のセネガル共和国独立とともに初代大統領に就任,5選されたが,80年12月任期途中で職を辞した。ネグリチュード概念を基礎に置く独特のアフリカ社会主義の理論的指導者として大きな影響力をもち,また詩を中心にアフリカ文学の面でも数々の業績を残し,アポリネール賞(1974)をはじめ国際的な賞を多く受けている。
執筆者:小田 英郎
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1906~2001
セネガル独立の父。植民地下のセネガルで徹底したフランス風教育を受けた。のち,黒人性をうたうネグリチュードを提唱。セネガル独立後,初代大統領(在任1960~80)として穏健な政治をしく。思想家,詩人としても高名。フランス学士院会員。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…59年同じ自治共和国のスーダン共和国(現,マリ)と合邦し,60年6月20日マリ連邦として独立した。しかし指導者間の意見の相違から連邦は2ヵ月で解体し,8月20日あらためてセネガル共和国として独立,初代大統領にサンゴールが選出された。
[政治]
1950年代から独立以後も詩人にして学者の政治家サンゴールが,穏健な自由主義を基調にしながら諸勢力の懐柔,統合,弾圧によって巧みに政治をリードしてきた。…
…〈黒人がわれわれの辞書にもたらした数少ない寄与の一つ〉(サルトル)であるが,定義は難しい。いずれにしろ,1930年代のパリでセゼール,サンゴールら,フランス領の西インド諸島,アフリカ出身の開化黒人詩人たちが起こした文学運動の思想的・芸術的基盤がこの名で呼ばれる。彼らは,黒人には独特な内的世界,宇宙認識論,芸術創造力,美的感覚などがあるとし,〈アフリカ〉〈ニグロ〉にまつわる過去の汚辱を払拭し,民族的価値の復権,人種の誇りを主張した。…
※「サンゴール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...
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