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サンスクリット語 サンスクリットご Sanskrit language

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

サンスクリット語
サンスクリットご
Sanskrit language

古代インドの文学語。梵語ともいう。インド=ヨーロッパ語族インド=イラン語派に属する。最古の文献はバラモン教の経典ベーダで,そのなかでも最古の『リグ・ベーダ』 Ṛg-vedaは前十数世紀と推定される。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

サンスクリット‐ご【サンスクリット語】

《Sanskritは元来、完成された言語、雅語の意》インド‐ヨーロッパ語族インド語派に属する言語。広義には、初期のベーダ語を含むが、狭義には、前5~4世紀の文法家パーニニによって記述され、規範を与えられた古典サンスクリット語をさす。梵語(ぼんご)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サンスクリット語
さんすくりっとご
Samskrit

古代インドの雅語、文章語。中国および日本では梵語(ぼんご)ともいう。元来「浄化、洗練、完成」を意味する動詞サンスクリsask-の過去受動分詞サンスクリタsask-taよりつくられたもので、「浄化、洗練された」「完成された」言語(バーシャーbhy)を意味し、プラークリタprkta「自然な、粗野な、人手の加わっていない」言語、すなわち俗語、方言と対蹠(たいせき)される。また、同じ動詞より派生した名詞形サンスカーラsaskraは、古代インド人がその人生の重要な段階において受くべき一連の通過儀礼を意味したから、そこにはまた宗教的な意味合いが込められている。いわば、俗に対する聖、自然に対する人工の意味合いが濃く、これらがこの言語を特徴づけている。それは、この言語を使用する人たちの教養のほどを計る教養語であり、またカトリック教会におけるラテン語のように、現在でも改まった儀式の席ではサンスクリット語が語られている。
 1784年、イギリス人、ウィリアム・ジョーンズがサンスクリット語と西洋古典語の類似を指摘して以来、インド・ヨーロッパ語比較言語学の成果はこの言語の系統を明らかにした。サンスクリット語の古層は古イラン語ときわめて近く、両者はインド・イラン語派を形成し、それはまたギリシア語、ラテン語、ゲルマン語、スラブ語などと姉妹関係にたち、これらはすべてインド・ヨーロッパ語に淵源(えんげん)している。[原 實]

歴史

紀元前15世紀ごろ、イラン高原より分派して北西方よりインドに侵入したアーリア人は原住民と戦い、これを駆逐してパンジャーブ地方に定住し、インド最古の文献『リグ・ベーダ』(前12世紀ごろ)と称せられる神々への讃歌(さんか)集を伝えた。それより前4、5世紀までのサンスクリット語の古層を通常「ベーダ語」と称する。ベーダ語は古典サンスクリット語より複雑な変化を有し、特殊語彙(ごい)を含み、時代的、地理的にも多彩な様相を呈している。前4世紀ごろ文典家パーニニが現れて、当時の教養人の言語に範をとって文法規則をその細目にわたって論じ、古今に冠絶する規範文法を編んだ。前2世紀までには、カーティヤーヤナ、パタンジャリが現れて「パーニニ文典」をさらに敷衍(ふえん)し、ここにサンスクリット語は文字どおり「洗練され、完成された」言語として確立した。かくてそれ以後の優れた文筆家はパーニニ文法の規則に細心の注意を払い、これにのっとることを旨としたから、サンスクリットは文典家の定めるところによって固定化し、言語に自然な推移や変化はこの言語には原則として跡づけえぬこととなった。その意味で、サンスクリットは人為語、教養語の性格をもち、官用語や日本の候文(そうろうぶん)に比較されるが、その作品に汎(はん)インド的妥当性を期し、名を後世にとどめようとした者はつねにサンスクリットで己(おの)が文章を綴(つづ)ったから、哲学、文学、宗教にわたるインド文化の精華はこの言語によって伝えられたということができる。これが、古典インドの文化の理解にサンスクリット語の知識が不可欠とされるゆえんである。[原 實]

文法

名詞は性に男、女、中の3性、数に単、双、複の3数(したがって複数は三つ以上)、格に主格、対格、与格、奪格などの8格を備え、母音・子音にわたる多数の語幹がこの枠内で変化する。形容詞の変化は名詞の性に従い、代名詞は人称代名詞、指示代名詞、関係代名詞など、名詞と同様な枠内で変化するが、格によって独特な語尾を有する。
 動詞は、異なった活用の仕方に従って10種類に分類され、態に能動、受動、中間の3を数え、法に直接法、可能法、命令法、時称に現在、未来、過去を数えるが、過去時制はその様相に準じて半過去、完了、アオリスト(不定過去)の3を含んでいる。第二次活用として使役法、希求法、強意活用、名詞の動詞化などがあり、特殊な前接辞、後接辞を付してつくられる。不定動詞形には不定法、絶対法、各種の分詞があり、造語法も豊かにかつ活発に展開している。合成語は動詞合成語と名詞合成語に分かれるが、後者はなかんずく複雑で、古典サンスクリット語の一特徴となっている。
 このように複雑な文法体系はすでに前2世紀に確立したが、著名な詩人といえども文法的誤謬(ごびゅう)を免れえず、いわんや一般庶民がこれらを忠実に遵守することは不可能であった。叙事詩、なかんずく『マハーバーラタ』の言語はかなりの不規則形を含み、プラーナ文献は繊細な文法の味わいを無視して、「通俗サンスクリット」の様相を呈している。初期大乗仏典のサンスクリットは、さらに正規の文法より逸脱すること甚だしく、語彙も俗語起源のものを多く混用し、独特の仏教混交梵語を形成している。ただし、後期大乗仏教の論師たちのサンスクリットは正規のそれに近づいている。[原 實]

プラークリット語との関係

正規の標準的教養語サンスクリット語のかたわらに、インド・アーリア語は、既述の通俗語、プラークリット諸語の発達をみた。これらの俗語は歴史的、地理的な方言的差異を提示し、サンスクリットに比して、音韻論的にも形態論的にも単純化の傾向を示しているが、他面、サンスクリットのように画一化されることがなかったために、形態論のうえでは多数の形が並存して、多彩を極める。そのなかには、最古の文献『リグ・ベーダ』に淵源するものもあるが、その方言分布の様態は前3世紀のアショカ王の法勅碑文群にうかがうことができる。また正統バラモン教に反旗を翻した仏教やジャイナ教は通俗語をもって彼らの聖典を伝えたから、パーリ語、アルダ・マーガディー語はプラークリット語の古層を伝える。中世にはいわゆる戯曲用プラークリットがあって4種(シャウラセーニー、マーハーラーシュトリー、マーガディー、パイシャーチー)を数え、戯曲に登場する婦人、道化師などは、教養あるバラモンや王族がサンスクリットを語るに対して、これらのプラークリットを語る。これらプラークリット諸語は時代とともにさらに変化し、アパブランシャ語の段階を経て、近代インド・アーリア語(ヒンディー、ベンガリー、グジャラーティー、マラーティーなど北インドの現代語)に連なっている。したがってインド・アーリア語史は、ベーダ語より俗語プラークリット諸語を通して近代語に跡づけられるというべく、これに対してサンスクリットはこれら歴史的変化の流れに棹(さお)さすことなく、万古不易な聖語、雅語、教養語として俗語を睥睨(へいげい)して今日に至っている。ただし、サンスクリットといえども、歴史的にインド・アーリア人の接触した異民族の言語の影響を受けた。このなかでもっとも重要なものは、主として南インドに分布しているドラビダ諸語で、サンスクリットの語彙に混入し、構文論にも影響の跡をとどめている。[原 實]

伝播

サンスクリット語はバラモン文化の媒体として、その波及に伴ってインド以外に伸び、タイ、ビルマ、カンボジア、ジャワなどの南海諸島に伝播(でんぱ)した。また、仏教の伝播に伴って、中央アジア、中国より日本にまでサンスクリットが伝えられている。真言密教の儀式や佗羅尼(だらに)の類はサンスクリット原音を音写して伝え、また日本語の語彙のなかにも、旦那(だんな)、袈裟(けさ)、奈落(ならく)、伽藍(がらん)など、もとサンスクリットに淵源するものが少なくない。[原 實]
『辻直四郎著『サンスクリット文法』(1974・岩波書店) ▽辻直四郎著『インド文明の曙』(岩波新書)』

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