シシンラン(その他表記)Lysionotus pauciflora Maxim.

改訂新版 世界大百科事典 「シシンラン」の意味・わかりやすい解説

シシンラン
Lysionotus pauciflora Maxim.

岩上や樹上に着生するイワタバコ科の常緑植物。茎の基部はやや木化して横にはい,それより高さ20~30cmの茎を出す。葉は対生あるいは3枚が輪生し,やや多肉な革質,長楕円状披針形で長さ2.5~5cmほど,縁にはにぶい鋸歯がある。茎の頂部の葉腋ようえき)から花序を出し,1~2個の花をつける。花は左右相称の合弁花で,基部が筒状に伸びた釣鐘状,花冠裂片は5裂するが全体として2唇形となり,淡紅色から白色,長さ約5cm。おしべ2本,退化おしべ2本,子房上位。果実は蒴果(さくか),長さ約10cmほどに伸び,中に線形両端に毛のある微細な種子を多数いれる。本州の紀伊半島以西,四国,九州から奄美大島,中国大陸南部山地域に分布し,観賞用に栽植されることがある。中国では全草を咳止め,止血などに用いるという。日本では分布はまれである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シシンラン」の意味・わかりやすい解説

シシンラン
ししんらん
[学] Lysionotus pauciflorus Maxim.

イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の常緑小低木。茎はコケの生えた樹幹に着生してはう。葉は対生または3、4枚が輪生し、倒披針(とうひしん)形で長さ3~6センチメートル、革質で厚く、縁(へり)に粗い鋸歯(きょし)がある。7月ころ上部の葉のわきに淡紅色花を単生する。花冠は筒状で長さ3~3.5センチメートル、先は浅く5裂する。雄しべは2本は長く、2本は退化して短い。蒴果(さくか)は線形で細長く、4~7センチメートルで熟すと裂ける。伊豆、近畿地方以西の本州から九州に分布し、鉢植えにもする。シシンラン属は日本、中国、ヒマラヤに約30種ある。

小林義雄 2021年7月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シシンラン」の意味・わかりやすい解説

シシンラン
Lysionotus pauciflorus

イワタバコ科の常緑小低木で,東アジアの暖温帯に分布する。日本西南部から南西諸島にかけて照葉樹林中のコケの生えた樹幹に着生する。茎は樹上をはうように伸びて分枝し,短い柄のある葉を輪生状につける。葉は長さ3~6cmの披針形で縁にあらい鋸歯がある。夏に,葉腋に淡紅色の大型花を単生する。花冠は長さ3~4cmの長いらっぱ形で上部は開いて浅く5裂する。

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