シナノキ科(読み)しなのきか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シナノキ科」の意味・わかりやすい解説

シナノキ科
しなのきか
[学] Tiliaceae

双子葉植物、離弁花類常緑または落葉高木低木または草。しばしば星状毛があり、組織内に粘液細胞がある。葉は互生し、単葉托葉(たくよう)がある。花は両性萼片(がくへん)、花弁はともに5枚ときに4枚。雄しべは10本から多数で、5本ときに4本の束になる傾向があり、5本の鱗片(りんぺん)状の仮雄蕊(かゆうずい)があるものもある。果実蒴果(さくか)、核果または堅果。熱帯から温帯に分布し、50属約450種が知られる。日本にはシナノキ属、カラスノゴマ属など4属11種が野生または帰化し、繊維のジュートjuteの原料となる植物であるツナソや、寺院などに植えられるボダイジュなどがある。

[山崎 敬 2020年4月17日]

 APG分類では、シナノキ科はアオギリ科、パンヤ科とともにアオイ科にまとめられるようになり、科名は消滅した。

[編集部 2020年4月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シナノキ科」の意味・わかりやすい解説

シナノキ科
シナノキか
Tiliaceae

双子葉植物アオイ目の1科。新旧両大陸の熱帯から温帯に約 50属 450種が知られ,分化の中心は東南アジアとブラジルであるといわれる。草本種を多少含むが,多くは高木または低木。葉は互生し単純葉であるが,しばしば左右非対称である。花は集散花序につき,放射相称の4~5数性,通常は,花弁とも5枚あり,花弁の基部に蜜腺をもつ。おしべは多数で果実は蒴果となる。シナノキ属 Tiliaは北半球温帯の代表的な落葉高木で,有用な木材を提供する。ジュート (黄麻) などの繊維植物もある。

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