一つの建造物の中に複数の映画上映場をもつ施設をいう。略称シネコン。日本にシネマ・コンプレックスが生まれたのは1993年(平成5)である。この年、神奈川県海老名(えびな)の7スクリーンほか、岸和田(きしわだ)の8スクリーン、高岡の6スクリーンと、合わせて21スクリーンが開場した。ちなみにシネマ・コンプレックスという呼称は日本特有のもので、発生地のアメリカでは、マルティプレックス・シアターとよばれている。
シネコンはアメリカで、広大な駐車場をもった映画上映施設として生まれ、発展した。日本では郊外のスーパーマーケットと提携する形でシネコンが生まれた。つまり、映画館はスーパーマーケットの駐車場を利用し、スーパーマーケットは映画を見にくる客の購買力に期待したわけで、このねらいは成功した。
このシネコンは、日本の映画業界を復活させる役割を果たした。それまで、限りない観客の減少に悩んでいた映画が、1993年には、1億3072万人の観客を動員し、前年に比べて512万人、4.1パーセントの増加を記録した。それから11年、2004年のシネコンは、約2800に増え、日本全国の映画上映場の65パーセントを占めるまでになった。もちろん、郊外だけにとどまらず、都市の中心部でもシネコン型の上映施設が増加している。郊外型シネコンは、会社員が帰宅してから家族と車で近くのシネコンに出かけられる利点がある。シネコンは、日本の映画観客の増加に大きな役割を果たしているといえよう。
シネコンは、1か所に複数の上映場があることから、観客はいろいろな作品を選択して見ることができる。その反面、大ヒット映画が出ると、いくつもスクリーンでその作品を上映するため、ほかの作品がその犠牲になって上映されなくなることがある。それがシネコンの大きな問題点であろう。
[品田雄吉]
『『映画ビデオイヤーブック』(1994・キネマ旬報社)』▽『『キネマ旬報』(各年度2月下旬決算特別号・キネマ旬報社)』
「シネコン」のページをご覧ください。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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