シネマスコープ

デジタル大辞泉 「シネマスコープ」の意味・読み・例文・類語

シネマ‐スコープ(CinemaScope)

ワイドスクリーン映画の一。特殊な円柱レンズを用いて横幅圧縮して撮影した画像を、映写の際に横に拡大映写するもの。スクリーン縦横比率は1対2.35。1953年、米国で実用化。シネマスコープサイズシネスコ。商標名。

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精選版 日本国語大辞典 「シネマスコープ」の意味・読み・例文・類語

シネマ‐スコープ

  1. 〘 名詞 〙 ( 二〇世紀フォックス社の商標名Cinema Scope ) 大型映画の方式の一つ。かまぼこ型の歪像レンズ(アナモーフィックレンズ)を用いて、フィルムに普通映画の約二倍の範囲を圧縮撮影し、縦横の比が一対二・五五の大型スクリーンに映写する。一九五三年、アメリカで発表された。シネスコ。
    1. [初出の実例]「まっすぐに映画館にはいった。シネマスコープを見るためである」(出典:彷徨(1955)〈丹羽文雄〉)

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百科事典マイペディア 「シネマスコープ」の意味・わかりやすい解説

シネマスコープ

米国で実用化されたワイド・スクリーン映画の一つ。原理フランスのH.クレティアンが1927年発表。アナモフィックレンズを使用することにより,水平方向が標準より2倍近く広角の画面を35mm幅のフィルムに収めることができる。撮影・映写とも普通の機器にアナモフィックレンズを追加するだけでよいため,この方式は普及した。第1作はヘンリー・コスター監督の《聖衣》(1953年)。
→関連項目ドーネン70ミリ映画20世紀フォックス[会社]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シネマスコープ」の意味・わかりやすい解説

シネマスコープ
CinemaScope

大型映画の一種。シネスコともいう。 1920年代にフランスで発明されていたのを 20世紀フォックス社が開発したもので,1台の映写機シネラマと同じ効果が出せる。縦横の比は1:2.35。第1回作品『聖衣』 The Robe (1953) は大ヒットし,各映画会社も競ってシネマスコープ方式を採用するようになった。この方法は普通の 35ミリフィルムと撮影機を使い,アナモフィック・レンズで映像を縦長に圧縮し,映写のときアタッチメントを使って横に広げる。その簡便さが人気を呼び,シネスコ映画の全盛時代を迎えた。現在は超大作以外はすべてシネスコ・レンズで撮影され 70ミリにプリントされている。

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世界大百科事典(旧版)内のシネマスコープの言及

【アメリカ映画】より

…テレビの脅威に対抗して映画界は〈ワイドスクリーン〉による映画の大型化を打ち出した。フレッド・ウォーラーが1952年に発表した〈シネラマ〉方式を皮切りに,《聖衣》(1953)を第1作とする20世紀フォックス社の〈シネマスコープ〉をはじめ,パラマウント社の〈ビスタビジョン〉,MGM社の〈パナピジョン〉,さらに70ミリ映画などが次々と開発され,古代史劇などのスペクタルを売物にするカラー大作が一時的に観客を映画館へと引き戻した。しかし,それは形式的な拡大にすぎず,やがて大衆に見放され,近年はめったに製作されることもなくなっている。…

【20世紀フォックス[会社]】より

…そのスクーラス=ザナック体制下で,シャーリー・テンプル,アリス・フェイ,ドン・アメチ,ベティ・グレーブル,マリリン・モンローといったスターが生まれ,《地獄への道》《モホークの太鼓》(ともに1939)から《荒野の決闘》(1946)をへて《拳銃王》(1950)に至る西部劇,《怒りの葡萄》(1940),《わが谷は緑なりき》(1941)から《紳士協定》(1947),《蛇の穴》(1948)をへて《イヴの総て》(1950),《革命児サパタ》(1952)に至る社会劇など,さまざまなジャンルの野心作,問題作がつくられた。 1950年代になってテレビジョンの脅威にさらされた映画界が深刻な不況を迎えると,他社にさきがけて大型画面の〈シネマスコープ〉を開発,その第1作の《聖衣》《百万長者と結婚する方法》(ともに1953),《ショウほど素敵な商売はない》(1954),《王様と私》(1956)などを製作して成功したが,《陽はまた昇る》(1957),《自由の大地》(1958)などの大作が失敗して不況から脱しきれず,ウェスト・ロサンゼルスにある撮影所の所有地の大部分が商業団地センチュリー・シティの開発に転用されるはめに立ち至った。さらに,4年の歳月と4000万ドルを費やしてローマで製作された空前の超大作《クレオパトラ》(1963)の興行的失敗が致命的な打撃をあたえることになった。…

※「シネマスコープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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