シマドジョウ

改訂新版 世界大百科事典 「シマドジョウ」の意味・わかりやすい解説

シマドジョウ (縞鰌)
striped loach
Cobitis biwae

コイ目ドジョウ科の淡水魚。ムギナ(岐阜県),スナサビ,スナハビ(栃木県)などの地方名がある。日本特産種で北海道と九州西部を除くほぼ日本全国に分布。水の澄んだ川や湖の岸近くの浅所の砂,または砂れき底にすむ。よく底に潜る習性がある。産卵期は4~6月。形はドジョウに似るが,ドジョウよりも一般に小さく全長5~12cm。口ひげは6本。体側に黒い斑点が1縦列に並び,その上方背びれ,尾びれなどにも不規則な黒斑がある。眼の下に先端が二つに分かれたとげがある。雄は雌よりも小型だが,胸びれが大きくその先端はとがっている。その付け根の部分の背面には骨質盤と呼ぶ突起物があって,この形状がシマドジョウ属の分類上の特徴となっていて,シマドジョウでは細長い形をしている。一般にはあまり食用にしないが,栃木県では卵とじなどにして賞味する。近縁種にスジシマドジョウ,タイリクシマドジョウ,イシドジョウなどがある。
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百科事典マイペディア 「シマドジョウ」の意味・わかりやすい解説

シマドジョウ

ドジョウ科の魚。地方名スナムグリ,スナドジョウ,カワドジョウなど。全長5〜12cm。雄はやや小型。体の基色は灰緑色で,腹面は白色または淡黄色。体側中央線上に暗褐色斑紋が並び,その背方には不規則な小黒斑が散在する。本州,四国,九州東部に分布。ドジョウと違って水の澄んだ川や浅い湖の砂または砂礫(されき)底にすむ。普通,食用にせず,観賞用として北米などへ輸出。近縁種のアジメドジョウは飛騨地方で美味なものとして賞味され,その分布は本州中部のいくつかの川の上・中流に限られている。全長7〜10cm。アジメドジョウは絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマドジョウ」の意味・わかりやすい解説

シマドジョウ
しまどじょう / 縞泥鰌
spined loach
[学] Cobitis biwae

硬骨魚綱コイ目ドジョウ科に属する淡水魚。北海道と九州西部を除く日本全国に分布する。体は淡褐色で、体側中央線上に10個前後の暗褐色斑(はん)が並ぶ。雄の胸びれの骨質盤は細長くとがる。染色体数が48と96の種族が知られている。主として底生動物を餌(えさ)とし、湖や河川中・上流の砂底もしくは砂礫(されき)底にすむ。

[澤田幸雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマドジョウ」の意味・わかりやすい解説

シマドジョウ
Cobitis biwae

コイ目ドジョウ科の淡水魚。全長約 10cm。体は細長く,側扁する。体の地色は淡黄褐色で,体側に暗褐色の斑点が縦に並ぶ。口は下方を向き,周辺に6本のひげをもち,眼の下に1本の小棘がある。清水の湧く湖沼,河川の砂底にすむ。青森県以南に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のシマドジョウの言及

【ドジョウ(鰌∥泥鰌)】より


[ドジョウ科]
 日本にはドジョウ科(Cobitididae)の魚は6属10種・亜種が分布する。これらは眼の下縁にとげをもつシマドジョウCobitisアジメドジョウNiwaellaアユモドキLeptobotiaともたないドジョウ属Misgurnus,フクドジョウ属Barbatulaおよびホトケドジョウ属Lefuaとに大別される。フクドジョウ属のフクドジョウB.toniは日本では北海道のみに産し,北海道の人々は単にドジョウといい,ふつうのドジョウをナイチドジョウ(内地鰌)と呼んで区別している。…

※「シマドジョウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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