シャツ(英語表記)shirt

翻訳|shirt

精選版 日本国語大辞典 「シャツ」の意味・読み・例文・類語

シャツ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] shirt )
  2. 上半身に着る西洋風のはだ着。
    1. [初出の実例]「肌には赤白随意のシャスを着たれば」(出典:東京開化繁昌誌(1874)〈萩原乙彦〉二)
    2. 「シャツ一枚になって、乱雑を極めてゐる六畳の部屋を片附け」(出典:或る自殺未遂(1951)〈井上靖〉)
  3. 肌着の上に中衣として、または上衣がわりに着る西洋風の衣服ワイシャツブラウスが代表的で、ふつうそでとえりがついていて、前で合わせてボタンをかけるものをさすが、スポーツシャツなどにはえりなしのもの、かぶって着るものなどもある。
    1. [初出の実例]「りんねるとて上等の麻布有り。夏の洋服、しゃつ等を造るに用ふ」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「シャツ」の意味・わかりやすい解説

シャツ
shirt

上半身に着る衣服で,肌着,肌着と上着の間に着る中着,上着の3種類のシャツがある。シャツの歴史はその性格から衣服の発生にまでさかのぼる。しかし現代的な意味でのシャツが成立したのは,ルネサンス期からの上着の装飾としてのシャツ,18世紀からの南イタリアや南ヨーロッパなど温暖な地方での,家庭着や戸外労働着として男女に用いられたシャツからと考えられる。19世紀までは,人まえでは絶対に上着を脱がないのが紳士エチケットであった。スーツに合わせるシャツが白を基準としているのも,それが清潔さの象徴であるからであろう。上着が直接肌にふれるのを避け,ざっくりとしてかたい感じの上着の生地と対照的な感触の綿,麻,絹などの生地が機能性だけではなく,とりあわせの効果をも生み出す大きな要素となっている。

 肌着としてのシャツは長袖,七分袖,半袖,袖なしがあり,ほとんどがかぶり式になっていて,伸縮性に富んだメリヤス編の綿が多用されている。中着としてのシャツは礼装用のフォーマル・シャツ,スーツやジャケットに合わせるドレス・シャツ,ジャンパーやアウター・ウェアに合わせたり,それ自体を上着的に着ることも可能なスポーツ・シャツがある。フォーマル・シャツは衿が取りはずせるセパレート・カラー形式になったものが中心で,その衿型はウィング・カラーが大部分である。タキシード用のフォーマル・シャツは胸の部分にひだ飾がつけられたり,のりで固くした〈いか胸〉と呼ばれるシャツが使われるが,これはベストではなくカマーバンドを着けるためである。ドレス・シャツも1930年代まではセパレート・カラーが中心になっていたが,それ以後は簡略型の縫付け衿が用いられ,第2次世界大戦後はこれが主流になり現在に及んでいる。スポーツ・シャツは中着,上着両方に着用できる,布帛(ふはく)を素材にしたもので,同様の機能と用途をもったニット製のポロシャツTシャツなどはニット・シャツとして区別している。シャツの流行は色柄だけではなく衿型に多く見られ,衿型の変型を網羅すると,200種類以上が記録されるほどである。なお今日,日本では女性の着るゆったりしたシャツをブラウス,男性のシャツの影響を受けたものをシャツまたはシャツ・ブラウスと呼んでいる。
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百科事典マイペディア 「シャツ」の意味・わかりやすい解説

シャツ

上半身に着る衣服。肌着,肌着と上着の間に着る中着,表着の3種がある。肌着は吸湿・保温性のよい綿やウールのメリヤス製が多く,ラクダ,カシミヤなどの毛織物も用いられる。中着にはワイシャツやシャツ・ブラウスなど,表着としても着られるものにアロハシャツポロシャツ,スポーツ・シャツなどがある。

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