デジタル大辞泉
「シヤー」の意味・読み・例文・類語
シヤー(shear)
《大きな鋏の意》金属板などを上下一対の刃物によって切断する工作機械。シヤリングマシン。截断機。剪断機。
シャー(〈ペルシア〉shāh)
《王・支配者の意》古代イスラム時代のイランで、王の称号。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
シャー
- 〘 名詞 〙 ( [英語] shear ) 板金を上刃と下刃のかみ合う剪断(せんだん)力で切断する機械。
シャー
- 〘 名詞 〙 ( [英語] Shah 元来ペルシア語 ) ペルシア(イラン)王の称号で尊称。インドのムガール朝でも用いられた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
シャー
shāh
近代ペルシア語で〈支配者〉〈王〉を意味する語(古代ペルシア語xshāyathiya,パルティア・中世ペルシア語shāh)。アケメネス朝およびササン朝の皇帝は,〈王中の王(シャーハーンシャーshāhānshāh)〉の称号をもち,彼らは神から帝国の統治権を授かった絶対専制君主であった。イスラム期に入ると,8世紀半の間はイランでもシャーの称号はほとんど用いられず(ブワイフ朝の君主はシャーハーンシャーの称号を用いた),アミール,スルタン,マリクの称号が用いられた。サファビー朝以後,ザンド朝を除いてパフラビー朝までイランの諸王朝の君主はシャーの称号を用いた。預言者ムハンマドの女婿であり,シーア派初代のイマームであるアリーの子孫と信じられていたサファビー朝の君主は,聖俗両権を併せもつ絶対君主であった。シャーの称号はインドのムガル帝国でも用いられ,オスマン帝国のスルタンにもパーディシャーpādişāh(守護王)というペルシア語起源の称号が与えられている。
執筆者:羽田 亨一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
シャー
shāh
近世ペルシア語で「帝王」または「支配者」を意味する。古代ペルシア語のクシャーヤティヤ khshāyathiyaに由来し,イランの王や地方君主が称したが,中世以降,ペルシア語を公用語としたインド,中央アジア,トルコなどでも用いられた。パードシャー pād-shāh (守護王) という形で用いられることもある。パフラビー朝下で用いられていたシャーヒン・シャー shāhin-shāhの称号は「王中の王」の意で,アケメネス朝のクシャーヤティヤ・クシャーヤティヤーナーム khshāyathiya khshāyathiyānāmを受継いだササン朝のシャーハーン・シャー shāhān-shāhあるいはシャーヒーン・シャー shāhīn-shāhに由来する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
シャー
しゃー
shāh ペルシア語
ペルシア語で「王」を表す。アケメネス朝の古代ペルシア語フシャーヤシヤ(王)に由来する。古来ペルシア王はシャーハンシャー(諸王の王)とよばれた。イスラム時代にはイランばかりでなくティームール朝やムガル朝でも用いられた。シャーは神権を付与された神聖な王とみなされたが、一方、地上における権力者にすぎず、その宮殿とともにすべて土に帰してしまう存在であると考えられてきた。
[井本英一]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
シャー
シャーフとも。王,皇帝,君主,イランの支配者を意味する語。アラビア語のマリク(王)やスルタンとほぼ同義だが,近世ペルシア語がイスラム圏の宮廷用語となって以来,シャー系統の称号はイランだけでなく,トルコ,インドなどのイスラム諸王朝でも使われた。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
シャー
shāh
「王」を意味するペルシア語。シャー・ハーン・シャー(諸王の王)は称号としてサーサーン朝時代に多く使われた。サファヴィー朝以降のイランの王は,通常シャーを名前の一部として用いた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
シャー
shāh
イランの支配者を意味する語
ペルシア語で「偉大な」「すぐれた」「君主」などの意。王名の前後につけられる。近世ペルシア語がイスラーム圏で宮廷用語となるとトルコやインドなどでも用いられた。
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
世界大百科事典(旧版)内のシヤーの言及
【カウンティ】より
…イギリスおよびイギリスの旧植民地の多くに見られる地理上および地方行政の単位。1066年のノルマン人によるイングランド征服以前から存在していた最大の地方行政単位であるシャイア(シャー)shireが,征服後ノルマンディ風にカウンティと呼ばれるようになったことから,この名称が用いられ出す。しかしイングランドでは,機構等に変化は見られはするが,その主たる役人である[シェリフ]を含め,アングロ・サクソン時代以来,地域・自治的共同体としての一体性等に一貫性を持ち続けていた。…
※「シヤー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」