シュピッテラー(その他表記)Carl Spitteler

デジタル大辞泉 「シュピッテラー」の意味・読み・例文・類語

シュピッテラー(Carl Spitteler)

[1845~1924]スイス詩人小説家ギリシャ神話題材として、スケールの大きな叙事詩を書いた。1919年、ノーベル文学賞受賞。叙事詩「オリンピアの春」、小説「コンラート中尉」など。

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精選版 日本国語大辞典 「シュピッテラー」の意味・読み・例文・類語

シュピッテラー

  1. ( Carl Spitteler カール━ ) スイス生まれの詩人。ショーペンハウエル的懐疑を以て、ギリシア神話を題材にスケールの大きな叙事詩を書く。代表作オリンポスの春」。一九一九年ノーベル文学賞を受賞。(一八四五‐一九二四

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改訂新版 世界大百科事典 「シュピッテラー」の意味・わかりやすい解説

シュピッテラー
Carl Spitteler
生没年:1845-1924

スイスの詩人。バーゼルの南の小都市に官吏の子として生まれた。イタリアの詩人アリオストの《狂えるオルランド》に感激し,叙事詩人を生涯の目標とした。バーゼル大学神学部(プロテスタント)を卒業したが牧師にならず,家庭教師として数年間ロシアで暮らし,帰国して女学校の教師,のちに新聞の編集者となる。1892年以後は妻が相続した遺産のおかげで詩作に専念。処女作《プロメートイスとエピメートイス》(1881)はしばしばニーチェの《ツァラトゥストラ》と比較される。神話叙事詩《オリンピアの春》(1900-06)によって1919年ノーベル文学賞を受賞。1914年にはスイスが中立を守り,平和のために貢献せよと訴える演説をした。晩年にはロマン・ロランと親交があった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュピッテラー」の意味・わかりやすい解説

シュピッテラー
しゅぴってらー
Carl Spitteler
(1845―1924)

スイスの詩人。早くから無神論的な傾向をみせていたが、神学を学んで牧師を務めたのち、ロシアに行き、8年間教師としての生活を送る。帰国後新聞編集に携わるが、1893年以降はルツェルンで創作に専念した。このノーベル賞詩人の活動は多方面にわたっているが、本領は叙事詩にある。ショーペンハウアーとニーチェの影響を受け、芸術家と市民の対立を意識した詩人は、美を求めるエリートとしての英雄的な人物を古典的な叙事詩に表現しようとした。『プロメテウスとエピメテウス』(1881)は、あえて世界を支配する権力を拒否しても「魂」を守ろうとする高貴なプロメテウスを歌う作である。『オリンピアの春』(1900~05)は、過酷な運命を克服するギリシアの神々を描きつつ、ペシミスティックな宇宙像と幸福の雄々しい断念を語っている。1919年ノーベル文学賞受賞。

[岩村行雄]

『高橋健二訳『イマーゴー』(『ノーベル賞文学全集3』所収・1977・主婦の友社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュピッテラー」の意味・わかりやすい解説

シュピッテラー
Spitteler, Carl

[生]1845.4.24. バーゼル近郊リースタール
[没]1924.12.29. ルツェルン
スイスの詩人,小説家。 1919年度ノーベル文学賞受賞。法学,神学を学び,教師,ジャーナリストを経て,作家生活に入る。ショーペンハウアーの影響を受けた英雄悲劇的世界観をもち,象徴的宇宙的ビジョンに満ちた神話的叙事詩を書いた。『プロメテウスとエピメテウス』 Prometheus und Epimetheus (1880~81) ,『オリュンポスの春』 Olympischer Frühling (1900~06,決定稿 10) ,『忍耐者プロメテウス』 Prometheus der Dulder (24) 。小説『イマーゴ』 Imago (06) は,フロイトの精神分析学的関心の対象となったことで有名。

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百科事典マイペディア 「シュピッテラー」の意味・わかりやすい解説

シュピッテラー

スイスのドイツ語詩人。アリオストの《狂乱のオルランド》に接して,叙事詩人を目標とした。ニーチェの《ツァラトゥストラ》と比べられる《プロメートイスとエピメートイス》や《オリンピアの春》などにより,現代における叙事詩の可能性を示した。ほかに自伝小説《イマーゴー》など。1919年ノーベル文学賞。

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