芳香族第一アミンを亜硝酸でジアゾ化して得られるジアゾニウム塩を用いる種々の反応を総称してジアゾ反応とよぶ。狭義にはアミノ基のジアゾ化によりジアゾニウム塩を生成する反応だけをさすことがある。
芳香族化合物、染料などの合成にきわめて重要である。たとえば、アニリンから得られるベンゼンジアゾニウム塩を硫酸酸性下で煮沸すると、ジアゾニウム基がヒドロキシ基により置換されたフェノールが得られ、アルコールと煮沸すると、水素で置換されベンゼンを生じる(ジアゾ分解。 の(1)参照)。
ハロゲン化銅(Ⅰ)または銅粉とハロゲン化水素酸といっしょに熱すると、ハロゲン化ベンゼンが得られる(ザンドマイヤー反応、ガッターマン反応。 の(2)参照)。
アルカリ性でフェノール類や芳香族アミン類を作用させるとカップリング反応をおこしてp(パラ)-ヒドロキシアゾベンゼンやp-アミノアゾベンゼンなどのアゾ化合物が得られる(ジアゾカップリング反応。 の(3)参照)。この生成物はアゾ色素とよばれ、黄色ないし赤色で、染料として重要である。
[湯川泰秀・廣田 穰]
ジアゾニウム塩を用いる反応の総称.ジアゾニウム塩は反応性に富み,いろいろな化合物の合成に利用されている.ジアゾニウム塩として安定な芳香族ジアゾニウム塩の反応が主となる.おもな例を次にあげる(Arはアリール基を表す).
(1)希硫酸水溶液を加熱するとフェノールを生じる.
ArN2Cl + H2O → ArOH + HCl + N2
2ArN2Cl + H3PO2 + H2O →
2ArH + H3PO3 + 2HCl + 2N2
(3)ヨウ化カリウムによりヨウ素が導入される.テトラフルオロホウ酸でArFが,ジチオ炭酸O-エチルカリウムでArSHが,亜硝酸イオンでArNO2 が生成する.
ArN2Cl + KI → ArI + KCl + N2
(4)銅(Ⅰ)塩を触媒として,ハロゲン,シアノ基などが導入される(ザントマイヤー反応).
(5)フェノール類のアルカリ水溶液に加えると,ジアゾカップリングしてアゾ化合物を生じる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ドイツの化学者,化学技術者。染料合成法として主要なジアゾ反応研究により,染料工業発展の基礎を形成した。カッセルに生まれる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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