ジュノーと孔雀(読み)ジュノートクジャク(英語表記)Juno and the Paycock

デジタル大辞泉 「ジュノーと孔雀」の意味・読み・例文・類語

ジュノーとくじゃく【ジュノーと孔雀】

《原題Juno and the Paycockオケーシー戯曲。1924年、ダブリンアベイ劇場にて初演。1922年から1923年のアイルランド内戦背景に、貧民街に暮らす一家の姿を描いた悲喜劇

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュノーと孔雀」の意味・わかりやすい解説

ジュノーと孔雀
じゅのーとくじゃく
Juno and the Paycock

アイルランドの劇作家オケーシーの三幕戯曲。1924年初演。独立運動最中のダブリンの貧しいアパートに住むしっかり者の女房ジュノーと、大風呂敷(おおぶろしき)ゆえに「孔雀」とよばれる船乗りあがりの飲んべえジャック・ボイルの一家に遺産が転がり込むという知らせに、一同は浮き立つが、やがて誤報と判明する。負傷兵の息子は地下運動での裏切り者として連行され、娘は身重のまま恋人に捨てられて、神に祈るジュノーのもとには一杯機嫌でわめく亭主が戻ってくる。小市民一家の悲喜劇を写実的に描いた代表作。

[森 康尚

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュノーと孔雀」の意味・わかりやすい解説

ジュノーと孔雀
ジュノーとくじゃく
Juno and the Paycock

アイルランドの戯曲。3幕。ショーン・オケーシー作。1924年ダブリンのアビー劇場で初演。1922~23年の内戦を背景に,ダブリンの貧民街に住むボイル一家の生活の崩壊が描かれている。戦乱がもたらす悲劇と同時に,人間自身に内在する愚かさが笑いのうちに表現されており,イギリスの劇評家ジェームズ・E.アゲイトは,「エリザベス朝以後英語で書かれた最も優れた作品」として高く評価した。ダブリン公演では拍手と怒りによって迎えられたが,ロンドン公演(1925)ではホーソンデン賞を受けた。

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