大型土木工事などにおいて,1企業では資金力,技術力などの面で受注が困難な場合,複数の企業が協力して工事を請け負う形態のこと。JVと略し,共同企業体と訳す。フランス語のコンソーシアムという言葉も使われる。ジョイント・ベンチャーは,1930年アメリカのフーバー・ダム建設にあたり,1業者が施工するにはあまりにも大規模であるため,6社が協力してこのダムの建設工事に入札したことに始まるといわれている。その後アメリカでは,同様な形での土木工事が一般的になった。日本でこのタイプのジョイント・ベンチャーが結成されたのは,50年沖縄のアメリカ軍基地工事において,アメリカの建設会社モリソン・ヌードセンと鹿島建設が協力したのが初めとされている。その後アメリカ軍基地工事にジョイント・ベンチャー方式は多く採用された。
高度成長後の70年代に入ると,競争激化で中小建設業者の受注が困難になってきたため,国・地方公共団体の工事入札にあたって,大手業者と地元中小業者のジョイント・ベンチャーへの優先的配慮の姿勢が明らかになってきたことから,日本においてもジョイント・ベンチャー方式は一般的なものとなった。
なお,ジョイント・ベンチャーは当初の意味以外にも,国際間の合弁企業をあらわす言葉としても使われるようになっている。
執筆者:北井 義久
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共同企業体と訳したり、JVと略記することもある。大型建設工事について、一企業では資金力、技術力、労働力調達の面で制約が大きすぎる場合、複数の企業が共同して事業を受注し完成させることをいう。事業期間が長い場合には共同出資の別会社を設立することもあるが、このようなケースでは共同出資会社と訳すこともある。この語は、もともと国際的企業協力をさすものであったが、その後、国内の建設事業にも用いられるようになった。国際ジョイント・ベンチャーは、たとえば日本の技術力と現地国の労働力のように、各国の特色を組み合わせる形が中心である。国内ジョイント・ベンチャーは、公共工事入札の際、大手業者と中小業者の連合体に優先的地位を与えるなどの政策が促進要因となった。なお、一部であるが、ジョイント・ベンチャーの語を、国際的合弁会社全般をさす意味で用いることもある。
[森本三男]
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…それが単なる下請関係や販売代理関係を脱して,技術的・戦略的な意味合いが強くなると,企業グループとして統一的な経営を進める必要性が高くなる。さらに,共通目的の達成のために,複数の事業体がそれぞれの経営的独立性を維持しながら,共同で資金・設備・労働・技術等の経営資源を出し合い,特定事業を遂行するために,ジョイント・ベンチャーjoint ventureが設立される(建設会社間で組織される共同企業体JVは一例)。これはとくに技術革新とのからみで用いられ,技術導入,研究開発,新規事業の開拓などがその主目的である。…
…国籍の異なった複数の企業が事業を行うために共同で出資すること。このようにして設立された会社が合弁会社joint ventureである。企業が外国に進出して事業を行う場合,単独でこれを行うことが少なくない。…
…それが単なる下請関係や販売代理関係を脱して,技術的・戦略的な意味合いが強くなると,企業グループとして統一的な経営を進める必要性が高くなる。さらに,共通目的の達成のために,複数の事業体がそれぞれの経営的独立性を維持しながら,共同で資金・設備・労働・技術等の経営資源を出し合い,特定事業を遂行するために,ジョイント・ベンチャーjoint ventureが設立される(建設会社間で組織される共同企業体JVは一例)。これはとくに技術革新とのからみで用いられ,技術導入,研究開発,新規事業の開拓などがその主目的である。…
…国籍の異なった複数の企業が事業を行うために共同で出資すること。このようにして設立された会社が合弁会社joint ventureである。企業が外国に進出して事業を行う場合,単独でこれを行うことが少なくない。たとえば支店を設置したり,自社が資本金を全額出資して現地法人を設立することができる。しかし,こうした方式によらず,進出先の国の企業と共同出資を行い新企業を設立することが合弁である。 合弁会社を設立する理由は多様である。…
…またこのような巨大な建設工事を一建設会社では請負できないので6社が共同して新会社を設立して工事を請け負った。これがジョイントベンチャー(共同企業)の発端で,建設業界に大きな影響を与え,日本でも多く採用されている。このダムによってインペリアル・バレーの砂漠が豊かな緑に覆われたが,河口への土砂の供給が減って海岸浸食が進み問題となっている。…
※「ジョイントベンチャー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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