翻訳|squash
正式にはスカッシュ・ラケットsquash racketという。2人のプレーヤーがボールをラケットで打ちあうスポーツ。四角い箱のような室内のコートで,床だけでなく,四面の壁も使って行うところに特色がある。先攻のプレーヤーは,ボールを前面の壁(フロントウォール)に向かってサーブをする。守るプレーヤーは,壁からはね返ってくるボールが床に2度バウンドする前にフロントウォールに打ち返さなければならない。このとき,サイドウォールやバックウォールをクッションとして打ち返してもよい。壁に描かれたコートラインは,前面では高く,後面では低く,左右の壁は傾斜したラインになっているが,その下方ならば,どこを使ってもよい。得点はサーブ権があるときのみで,サーブ権をもつプレーヤーがミスした場合にサーブ権が相手に移る。通常5ゲーム制で3ゲーム先取したほうが勝つ。1ゲームは9点先取した者が取るが,8対8のときは,レシーバーの選択により10点制にするかそのまま9点先取で勝ちにするかを決める。その他,サーブ権に関係なくポイントが入る15点先取のラリーポイント方式も行われる。
スカッシュは,壁へのはね返りを使ってボールを打ちあうラケットrackets(racquets)の一変種で,19世紀の中ごろイギリスのハロー校の少年たちがラケットの順番を待つ間,ボールを押しつぶして(squash)はね返りを弱くし,コート脇の狭い空間でもできるようにしたのが起源だという。1890年代には専用コートが作られるようになり,1920年代にイギリス全土に急速に普及した。その後イギリス連邦諸国を中心に世界に広まっていき,67年に国際スカッシュ・ラケット連盟(ISRF)が設立されるに至った。
日本では,昭和の初め,東京のイギリス大使館内に作られたコートが最初といわれるが,一般にはほとんど知られていなかった。1971年,日本スカッシュ協会が設立され,各地のアスレティッククラブがコートを建設するようになり,少しずつ知られるようになった。80年代に入ると,同起源のラケットボールracketball(スカッシュとの違いは四方の壁のほか,天井をも使って行う点)のコートの建設がはじめられたが,両者ともコートの建設費用がかさむこと,四方を壁に囲まれているため観客数が限られるなどの点に制約があり,普及が遅れていた。しかし1997年現在,全国に約480コート,約260の愛好者クラブを有するまでに成長している。愛好者数は30万人,競技人口は10万人といわれ,トーナメントやジャパンオープンなどの試合が年間80回ほど開催されている。
執筆者:薗田 碩哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
テニスと、四方を壁で囲まれたコートで行うウォール(アイリッシュ)ハンドボールを組み合わせたスポーツで、スカッシュ・ラケッツsquash racquetsとスカッシュ・テニスsquash tennisとがあるが、単にスカッシュといえば前者をさす。年代的には、18世紀にイギリスの刑務所内でコートテニス(ローンテニスの前身)の愛好者たちが考案したといわれているラケッツracquetsが、19世紀になってからイギリスの学校に普及し、ラケッツからスカッシュ・ラケッツが生まれ、これがアメリカに渡ってスカッシュ・テニスを生み、1950年代になって同じアメリカでラケットボールracquetballが考案された。これらのスポーツは、コートの大きさ、ボールの大きさ、重さなどに違いはあるが、テニスのように中央にネットはなく、壁に囲まれたコートで、壁に対してボールを打ち合うという点で共通している。なお、スカッシュとは押しつぶされるという意味で、ゴムの中空ボールが壁に強く当たるときに押しつぶされるような音がすることから、これがそのまま競技の名称になった。
スカッシュ・ラケッツは1850年ごろイギリスのハロー校の学生たちがラケッツのコート不足を不満として考案したものなので、コートの大きさも、ラケッツの60フィート(18.29メートル)×30フィート(9.14メートル)から、32フィート(9.80メートル)×21フィート(約6.40メートル)と狭くなっている。ラケットはバドミントンのそれとほぼ同じ大きさで、ボールの大きさは直径4.45センチメートル、重さは28.35グラム。コートは四方と天井が壁で、互いにボールを壁に打ち合うが、シングルスとダブルスがある。1ゲームは15ポイントで、イギリスの規則はサーバーだけが得点するが、アメリカの規則ではレシーバーも得点できる。スカッシュ・テニスはスカッシュ・ラケッツと同じコートで、ローンテニスとほぼ同じラケットとボールを使用して行うが、現在はニューヨークなどの限られた地域でのみ行われている。
ラケットボールは、フォーウォール(四面が壁)のハンドボールコートをそのまま使い、コート、ボールともスカッシュ・ラケットよりすこし大きい。1ゲームは21点先取で決まり、サーバーのみが得点する。近年アメリカで急激に競技人口が増加しており、日本でも行われるようになった。
[大谷要三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…果汁に砂糖と炭酸水を加えてつくるソフトドリンク。レモン,オレンジなど果汁の多いかんきつ類を材料とすることが多い。ふつうスカッシュは炭酸水を加えたものをいうが,水を加えたものでもスカッシュと呼んだり,炭酸水を加えてもエードと称することもあり,これといった決りがあるわけではない。エード【伊藤 多喜男】…
※「スカッシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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