スタッコ(その他表記)stucco

翻訳|stucco

デジタル大辞泉 「スタッコ」の意味・読み・例文・類語

スタッコ(〈イタリア〉stucco)

石灰大理石粉、砂などを混ぜて練った建築材料西欧古代から、壁や天井などの装飾に使われた。化粧漆喰しっくい。スツッコ。

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改訂新版 世界大百科事典 「スタッコ」の意味・わかりやすい解説

スタッコ
stucco

建造物の内外に塗りつける左官材料ストゥッコとも呼び,化粧しっくいと訳される。通例,消石灰に大理石粉,粘土粉,砂,顔料などを混入して練ったもので,細工するときは軟らかく,硬化すると耐久性をもち,現在多用されているセメントモルタルもその一種である。古代の日乾煉瓦造の建物では,はじめ表面に泥を塗って保護したが,やがて石灰スタッコで塗り上げ,白い滑らかな壁面とすることが一般化した。ギリシア人は,大理石以外の多孔質の石材を用いて建てるときは,大理石の細粉を混じたスタッコを塗って磨き上げ,大理石に近い表面をつくり出す技術を完成した。しかし,スタッコ技術をさらに発展させたのはローマ人で,セッコウに形つけした各種の彩色浮彫装飾を天井や壁面に張りつけたり,セメント・モルタルを用いて浴室の内壁耐候性の高い外壁をつくったうえ,木ずりや木骨に塗りつけて軽量のボールトもつくっていた。これらの技巧はルネサンス時代に復活した。まず,室内の彩色スタッコ装飾が隆盛となり,次いで建築パラディオが,煉瓦造建築の外壁をスタッコ仕上げにより石造に見せかける工法を普及させた。17世紀以降のバロック建築では,豪華な彫刻装飾がスタッコにより比較的安価につくられている例が多い。とくに18世紀のドイツ,オーストリアのバロック建築ではスタッコ技法の活用が目だち,一村のほとんどがスタッコ職を業とするという村さえあった。19世紀のイギリスでは,J.ナッシュが,煉瓦造スタッコ仕上げの外壁にさらにペイントを塗った建築を普及させ,〈リージェンシー・スタッコregency stucco〉という名で知られている。また,いわゆるコロニアル・スタイルの建築では,木造建築をスタッコ仕上げによって煉瓦造や石造に見せかけることもしばしば行われた。日本で広く行われている木造モルタル塗りの建築は,それを簡易な防火構造として普及させたものである。
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百科事典マイペディア 「スタッコ」の意味・わかりやすい解説

スタッコ

建築の内壁仕上げに用いる化粧漆喰(しっくい)。ストゥッコともいう。消石灰を主原料とし,補強のために粘土粉,大理石粉,砂,顔料などを混ぜ練ったもの。加工しやすく,乾くと硬化する。壁や天井を飾る塑像や浮彫の材料としても多く使われた。オリエントでは古くから使用され,ヨーロッパではルネサンス期から盛んに用いられるようになった。
→関連項目ハッダ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタッコ」の意味・わかりやすい解説

スタッコ
stucco

本来は大理石に似た表面の仕上げを行うための塗り壁材料。石灰に大理石粉,粘土などを混ぜて練ってつくる。ギリシア,ローマ,イスラム建築の細部装飾に多く用いられた。今日でもヨーロッパにはこの技法の伝統が残っているが,最近の日本ではもっぱらセメントモルタルによって粗面をつくる仕上げにこの語を用いている。

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リフォーム用語集 「スタッコ」の解説

スタッコ

吹付材の一種で、セメント系、けい酸質系、合成樹脂エマルション系などの厚付けの仕上塗材を外壁表面などに吹き付け、コテやローラーなどで表面に凹凸模様をつける手法。重厚な雰囲気をもち、外壁・内壁・天井などの仕上げに用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のスタッコの言及

【塑造】より

…【中山 公男】
[東洋の仏教塑像]
 仏像が初めて製作された北西インドのガンダーラでは,3~5世紀ころに石仏とともに塑像が多くつくられた。同期の遺品が隣接するアフガニスタンのハッダ,カーブルから多く出土しており,これらは粗い土の上をしっくいを混ぜた細かい塑土で整えたスタッコの技法で製作されている。良質の石材が得難い中央アジアでは塑造の仏像が多くつくられ,石製の芯の表面に塑土を盛った石胎塑像やスタッコ像が,東トルキスタン各地の4~5世紀ころの仏教遺跡,ミーラーン,ビハーラ,トゥムシュクなどから出土している。…

※「スタッコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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