スペクテーター(英語表記)Spectator

デジタル大辞泉 「スペクテーター」の意味・読み・例文・類語

スペクテーター(The Spectator)

アジソンスティール共同創刊した新聞。架空の会員クラブが発行するという体裁で、二人エッセーを主に掲載。1711年3月から1712年12月まで、日刊で全555号を発行。その後、1714年にアジソンが再刊したが、80号で終刊

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改訂新版 世界大百科事典 「スペクテーター」の意味・わかりやすい解説

スペクテーター
Spectator

イギリス18世紀初期の日刊のエッセー・ペーパー。アディソンJoseph AddisonとスティールRichard Steeleが1711年3月1日に創刊した。スティールは,1709年4月12日からアディソン,スウィフトJonathan Swiftら文人の協力をえて《タトラーTatler》(週3回刊)と題する,ビカスタッフIssac Bickerstaffという架空の語り手によるエッセー主体の新聞を出し,大きな成功を収めていた。彼らのエッセーは身辺雑記,そこはかとない感想をつづるものではなく,社会のモラル,マナーを改造しようという遠大な目的意識に貫かれていた。ニュース,政論のほかそうした読みもの,話題提供を歓迎する読者層が形成されつつあったのである。《タトラー》は11年1月2日に廃刊され,その後継紙としてエッセー紙の型を完成させたのがこの新聞である。最盛時には3000部以上売れ,《官報》を除き当時最大の発行部数を誇った。その文章,スタイルはこの世紀全般にわたって多くの模倣者を生み,大きな影響を残した。捺印法で打撃を受け,スティールが政論の分野にのり出すこともあって,12年12月6日に廃刊した。なお,同名でアディソンの単独編集による新聞(週3回刊)が14年6月18日~9月29日まで刊行された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スペクテーター」の意味・わかりやすい解説

スペクテーター
すぺくてーたー
The Spectator

18世紀イギリスの日刊紙。1711年3月、R・スティールとJ・アジソンによって創刊。仮想人物からなる会員クラブの発行という形式で、当時の風俗文学に関する2人のエッセイを主として掲載する。田舎(いなか)紳士、サー・ロジャー・ド・カバリーといった仮想人物などで有名。1712年12月、555号でいったん廃刊。その後1714年アジソンにより再刊、80号で終刊。

[玉泉八州男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スペクテーター」の意味・わかりやすい解説

スペクテーター
The Spectator

イギリスの評論家 R.スティールと J.アディソンが創刊した評論・随筆新聞。 1711年3月1日から 12年 12月6日まで発行。日刊。 14年に再刊されたが長くは続かなかった。「スペクテーター・クラブ」で当時の地主,新興商人,軍人などのメンバーが時代風俗,道徳,芸術などを論じ合うというフィクションを中心に,架空の投書の形式なども用いて,当時のほとんどあらゆる話題を取上げ,庶民にもわかりやすい文体と内容で常識的市民道徳を説いている。イギリスの定期刊行物史上で重要な位置を占めるが,それにもまして,市民文学,小説の歴史において重要な役割を果した。なお,同名の週刊誌が 1828年に創刊されている。

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世界大百科事典(旧版)内のスペクテーターの言及

【イギリス】より

… 1695年,絶対王政型の事前検閲法規が消滅。1702年には日刊紙《デーリー・クーラント》が誕生,またアディソン,スティールの《スペクテーター》(1711刊)などの教養・娯楽紙も流行し,新聞は社会に定着する。31年にはケーブEdward Caveが《ジェントルマンズ・マガジン》を出し,総合雑誌の原型をつくった。…

【スティール】より

…1709年,学校時代の旧友アディソンを誘って週3回の定期刊行物《タトラー》を創刊。その成功に勢いを得て11年に発行した《スペクテーター》も評判となった。続いて刊行した雑誌《ガーディアン》(1713)はホイッグ党色が強く,また彼自身議員(1713‐14)として活躍したが,スウィフトらと対立し議席を失った。…

※「スペクテーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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