改訂新版 世界大百科事典 「アディソン」の意味・わかりやすい解説
アディソン
Joseph Addison
生没年:1672-1719
イギリスのエッセイスト,詩人,劇作家,政治家。著名な聖職者の息子として生まれ,後にオックスフォード大学で学ぶ。ホイッグ党の初代ハリファクス伯爵の知遇を得,その尽力でイタリアへ行く。その結果が詩《ハリファクス卿へのイタリア書簡》(1704)と散文《イタリア管見Remarks on Italy》(1705)である。後者は18世紀を通してイギリス人の大陸旅行の必携書とされた。主としてイタリアを古典の知識を踏まえて案内しながら,一方ではイギリス的な自由を大陸の圧政と対比させてもいる。帰国後キット・キャット・クラブに入り,さらにホイッグ党の下院議員となる。その間とくにR.スティールと親しくなり,彼の主宰する定期刊行物《タトラーThe Tatler》(1709-11)に引き入れられ,次いで《スペクテーター》(1711-12,1714)で中心的な役割を果たす。《スペクテーター》では温和な調子で当時の風俗を観察し,道徳的な規範を示し,文学批評の面でも重要な寄与をした。1713年に出した悲劇《ケイトー》は超党派的に歓迎され,彼の名を高めた。しかしその後《フリーホールダー》(1715-16)を出し,ポープやスウィフトなどのトーリー作家との対立を決定的にした。ジョージ1世の時代に入って彼の公的地位はいっそう高まり,死の直前は国務大臣の職にあった。
執筆者:榎本 太
アディソン
Thomas Addison
生没年:1793-1860
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報