スペクトル系列(読み)スペクトルけいれつ(その他表記)spectral series

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スペクトル系列」の意味・わかりやすい解説

スペクトル系列
スペクトルけいれつ
spectral series

原子放出スペクトルまたは吸収スペクトルにおいて規則正しい関係式に従う波長をもった一連スペクトル線水素原子の可視部のスペクトル線系列的関係があるらしいことはすでに 1880年代に知られていたが,これらの線を関係づける公式を初めて与えたのは J.J.バルマーである (1897) 。水素原子のスペクトル線の波長 λ は一般に次の公式で与えられる。
Rリュードベリ定数という。 m を固定し,n を変動させた一連の線がスペクトル系列をなす。 m=1 ,2,3,…を発見者の名によってライマン系列バルマー系列パッシェン系列,…系列という。公式の右辺の各項をスペクトル項という。 1913年 N.ボーアはラザフォードの原子模型量子仮説とを用いて,理論的にこの公式を導き出した。他の原子のスペクトル系列もリッツの結合原理を用いて見出され,スペクトル項が少し修正された公式で表わされる。 (→水素原子のスペクトル )

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百科事典マイペディア 「スペクトル系列」の意味・わかりやすい解説

スペクトル系列【スペクトルけいれつ】

波長(またはその逆数の波数)が一定の関係式で表される一群のスペクトル線。たとえば水素の線スペクトルについて,λを波長,Rをリュードベリ定数とすれば,ライマン系列(式1)バルマー系列(式2)パッシェン系列(式3)などの系列がある。アルカリ金属についても同様な系列が見いだされ,また各元素一般に通ずる近似式として(式4)(ここでa,bは各系列に特有な定数,m,nは整数)が立てられている(リュードベリ,1895年)。
→関連項目リュードベリ

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化学辞典 第2版 「スペクトル系列」の解説

スペクトル系列
スペクトルケイレツ
series of spectral line

波長がある関係式で表される一群のスペクトル線をいう.もっともよく知られているのが,水素原子のスペクトル系列である,ライマン,バルマー,パッシェン,ブラケットプントの各系列である.原子のスペクトルは,各電子エネルギー準位に対応するスペクトル項の差としてスペクトル系列を形成する.これらを総称してリュードベリ系列とよぶこともある.分子でも一部系列をつくるものはあるが,一般的ではない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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