日本大百科全書(ニッポニカ) 「リュードベリ」の意味・わかりやすい解説
リュードベリ(Johannes Robert Rydberg)
りゅーどべり
Johannes Robert Rydberg
(1854―1919)
スウェーデンの物理学者。ハルムスタード生まれ。1875年ルンド大学卒業。円錐(えんすい)曲線に関する研究で学位を取得したのち、同大学の数学講師、物理学講師を経て、1897年教授。元素の周期性と線スペクトルとの関係に興味をもち、分光学の研究を始める。1890年水素スペクトルに関するバルマーの公式をすべての元素スペクトルに拡張しようと考えて、元素スペクトルを主(P)系列、鈍(D)系列、鋭(S)系列に分類して、どの系列にも当てはまるリュードベリの公式を導くとともに、普遍定数リュードベリ定数をみいだした。また、1896年にはシュスターとは独立にスペクトルに関するリュードベリ‐シュスターの規則を発見するなど、リッツの結合原理の発見を導く研究を行った。
[兵藤友博]
リュードベリ(Abraham Viktor Rydberg)
りゅーどべり
Abraham Viktor Rydberg
(1828―1895)
スウェーデンの作家。長い新聞記者生活の間に『バルト海の海賊』(1857)、キリスト教と異教の対立を扱った『最後のアテナイ人』(1859)を連載小説として発表した。彼自身「最愛の子」とよんだ代表作『シンゴアッラ』(1857)は書き下ろしで、中世を舞台に騎士とロマ(かつてはジプシーとよばれた)の娘の恋を扱ったロマンチックな物語。『刀鍛冶(かたなかじ)』(1891)は晩年の作。ほかに詩集、ゲーテの『ファウスト』の翻訳(1875)が知られる。国会議員、アカデミー会員、ストックホルム大学教授の職にもあった。スウェーデン・ロマン主義の掉尾(とうび)を飾る巨匠といわれる。
[田中三千夫]