改訂新版 世界大百科事典 「セデス」の意味・わかりやすい解説
セデス
Georges Coedès
生没年:1886-1969
東南アジア碑文(刻文)研究の第一人者。パリに生まれ,1904年にカンボジアの古碑銘を扱った論文を極東学院の紀要《BEFEO》に発表して以来,六十数年にわたってインド文化の影響を受けた東南アジア各地,特にカンボジアおよびタイの刻文の研究を続け,また考古学,美術史の研究を併せ行って,これらの国々の歴史の骨組みを明らかにした。スマトラ,マレー半島方面にあった大国スリウィジャヤの存在を明らかにしたのも大きな功績である。彼の研究活動はバンコクでの一時期(1918-29)以外はハノイにあった極東学院を中心に行われ,1929年から47年まではその院長を務めた。《シャム刻文集》2巻(1924,29),《カンボジア刻文》8巻(1937-66)は両国の歴史研究に基本史料を提供したものであり,《インドシナとインドネシアのインド化した諸国》(1948。改訂版1964)と《インドシナ半島の諸民族》(1962。邦訳《インドシナ文明史》)は重要な概説書である。
執筆者:山本 達郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報