ソーシャル・ネットワーク

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ソーシャル・ネットワーク

2010年製作のアメリカ映画。原題《The Social Network》。SNSサイト「Facebook」創設者マーク・ザッカーバーグを主人公とした映画。監督:デビッド・フィンチャー、出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイクほか。第83回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同脚色賞、編集賞、作曲賞受賞。第68回米国ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)受賞。

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最新 心理学事典の解説

ソーシャル・ネットワーク
ソーシャル・ネットワーク
social network

広義には,個人間,集団間,組織間,機関間などの相互関係とその様相を指すが,最も多く使われる用法は,人と人との間の紐帯tiesが構成するネットワークを意味する。ネットワークは情報や影響の流れの媒体となり,それらが意思決定や意見の根拠となる判断を制約する。ネットワーク内の個人の視点からは,ネットワークはソーシャル・サポートや新しい情報の資源となる。この両面から,社会的資源の組織化や効率化を探求する社会関係資本研究social capital studiesとも強い関連性をもつことになる。また,家族,サークルのような比較的閉じたネットワークはそれ自体で集団を構成する境界を有しその境界内でのみ適用される規範,常識,社会的リアリティをしばしば作り出す。これらの集団はその外側の人びとともリンクしたネットワークを構成するが,境界内だけに適用される特性をもつなど,集団構造と機能の研究対象となる。

 ソーシャル・ネットワーク研究は,以上のように,ネットワーク自体の構造と特性を探求する方向と,ネットワークの単位の特性や単位間の関係に注目する方向とに二大別される。心理学においては,前者は社会心理学的研究を,後者は発達心理学的研究を導く。

【社会心理学におけるソーシャル・ネットワーク】 社会心理学におけるソーシャル・ネットワーク研究は,1930年代のモレノMoreno,J.L.によるソシオメトリー研究が源泉となったが,その後は大きく三つの流れに分かれていく。第1はラザースフェルトLazarsfeld,P.F.ら(1955)によるパーソナルインフルエンスの研究であり,人びとの日常の行動の重要な影響源が,周囲の人びとからその意見を尊重される人を意味するオピニオンリーダーopinion leaderにあることを多角的に明らかにした。オピニオンリーダーの説得力は,マスメディアの影響を上回るとされる。

 第2の流れは,ロジャースRogers,E.を代表とするイノベーション普及過程の研究である。この流れは第1の流れも組み込みつつ,新商品や新しい考え方が社会の中で普及するさまをソーシャル・ネットワークの構造と機能を検討することで明らかにした。ここでは,オピニオンリーダーは自らの属する集団の中でイノベーションを採用していくかどうかを判断する集団の結節点であり,集団の意見変化のキーとなる。それがキーとなりえるのはリーダーとしてのパーソナリティゆえではなく,彼のネットワーク上の位置が外部世界と集団の内部とをつなぐ中心位置を占めるからである。ロジャース以後の研究は,オピニオンリーダーに限らずネットワーク上のメンバーの構成特性に向けられ,人びとが日常接する強い紐帯strong tiesによるネットワーク研究として発展した。ここではネットワークメンバーが強い類似性(類同性)homophilyを有すること,その類似性ゆえに強固で互恵的な関係性を築き,ソーシャル・サポートの源泉となりやすいこと,他方,互いの行動を制約しやすく,閉鎖的で外部に対して不寛容となる可能性をもつことなどが指摘されている。

 第3の流れは,ミルグラムMilgram,S.に始まるスモールワールド研究とその関連研究である。ここでの焦点はそれほど親しくない人びととのつながりである弱い紐帯weak tiesにある。人びとが構成するソーシャル・ネットワークは巨視的に見ると決してランダムに構成されるのではなく,グループ化されかつ随所にショートカットのある構造をもつ。このショートカットこそが,遠く離れた人びとを短距離の結節点で結びつけるポイントである。実証研究も示すとおり,まったく未知の人びとを平均6中継点で結びつけるのである。この数値はインターネットが盛んな世界になっても変化していない。それがもつ心理学的な意味は,ショートカットを経由した情報の伝播のすばやさ,自らの近傍にはない異質で貴重な情報を弱い紐帯がもたらす効果(「弱い紐帯の強さ」)として知られる。他方,弱い紐帯はしばしば多人数にのぼり,紐帯を維持するストレスも含めて諸種のコストがかかる。また異質な情報源はしばしば強い紐帯内でのコンフリクトの源泉となる。【発達心理学におけるソーシャル・ネットワーク】 人間がソーシャル・ネットワークをつくるという考えは,ヒトという種が社会生活をすることで生き延びてきたという認識に立つ。ヒトは生命の安全や心の安心のために他者を必要とする生物で,それを可能にするように人間関係をつくる性質を進化の遺産として受け継いでいると考えるのである。実際,乳児は誕生と同時に複数の他者と接し,誕生時から人間に特別の関心を向け,人間との交渉を喜び,一人にされると不安を訴える。人間は社会の中に生まれ,社会の中で発達する。このように人間がソーシャル・ネットワークを必然とする性質を受け継いでいるとみなせば,人間関係を母親への愛着などの二者関係だけに帰着させるのは適当ではないことになる。たとえば,ある子どもと母親との関係は,子どもがもつソーシャル・ネットワークの中の他の重要な人びととの関係と関連しているはずである。母子関係だけを独立に取り出しても,母親が子どもにとってもつ意味は十分には理解できない。さらに,母親自身のネットワークの中での子どもの位置づけも母子関係に影響を与えているはずである。したがって,ある人の二者関係を独立に調べ上げても,その人の人間関係の理解は難しい。また,ある人の具体的な対人行動は,その人の人間関係の心的枠組みによって決定されるので,その人のネットワークの表象を見なければ十分には理解できない。このように,伝統的な二者関係重視のパラダイム批判のうえに,ソーシャル・ネットワーク・モデルが人間関係の発達心理学に導入されることになった。

 ソーシャル・ネットワーク・モデルでは人間関係を記述するうえで三つの性質を重視する。⑴人間関係は乳児といえども複数の重要な他者から成る。複数の重要な他者を必要とするのは,それぞれの重要な他者に心理的機能を分配するからだと考えられる。このような対象と機能をセットにした集合体,つまりネットワークを作る性質も進化の結末であろうとされる。これは特定の一人だけに全面的に左右されないための巧みなしくみであるといえるし,危急のときにだれが養護してくれるかがわかっているという経済的な安全装置としても有効である。⑵ネットワークの構成メンバーを選ぶのは,それぞれの個人である。母親が主要な養育者として世話をしていても,2割程度の乳児は母親以外の人(父親,祖母,年上のきょうだいなど)を最も好んだという報告もある。人間は自分にとって価値がある,有効であると選んだ人びとを構成要素とするソーシャル・ネットワークを作る。⑶ソーシャル・ネットワークは必要に応じて変化する柔軟性をもつ。つまり,本人の成長につれて知識が増えたり価値観が変わったりすれば,あるいは生活する場所や状況が変化すれば,それぞれの対象の意味が変わり,古い対象が削除されたり,新たな人が加わる可能性もある。そして,構成要素に変更があればネットワーク全体に変化が起こることは必至であるが,ネットワークそのものはやがて安定を取り戻すことが仮定できる。

 このようにソーシャル・ネットワークを操作的に定義し,測定する方法が提案されている。問題にされているのは,いずれも人間の安全や安心をサポートする小さなソーシャル・ネットワークであり,人間関係の表象を測定しようとするものである。⑴ソーシャル・ネットワークス・モデルsocial networks modelでは,個人のソーシャル・ネットワークは,だれ(母親,父親,きょうだい,友だちなど)が,いかなる心理的機能(保護,世話,養護,遊びなど)を果たしているかを対象×機能のマトリックスとしてとらえる。交渉をもつ相手のリストを増減させ,機能を変更させることで,生涯にわたって人間関係が測定できるとする(Lewis,M.,1982)。⑵コンボイ・モデルconvoys modelは,人間の存在を支え,幸福感に寄与するソーシャル・サポート・ネットワークを扱う。コンボイconvoys(護衛艦隊の意)とは,ある人が情動(好意,敬意,愛情),是認(他者の言動を正しいと認める),援助(物,金銭,情報)などのサポートのいずれかをやりとりしている複数の人びとから成る集合体を指す。コンボイがその人に幸福感をもたらし生活がうまく営まれるように支え,あるいはストレスや緊張の緩衝となると考えたのである。コンボイは階層的な構造をなすことが仮定され,3重の同心円の図版を用いて面接によって調べられる。年齢や文化を超えて広く使われている測度である(Kahn,R.L.,& Antonucci,T.C.,1980)。⑶愛情のネットワーク・モデルは,重要な他者と情動的な交渉をしたいという愛情の関係の要求が,だれ(対象:母親,父親,きょうだい,友だちなど)によって,どのように(6種の心理的機能,すなわち①近接を求める,②心の支えを求める,③行動や存在の保証を求める,④激励や援助を求める,⑤感情や経験を共有する,⑥養護する)充足されているか,対象と機能を結びつけて,人間関係の心的枠組みの表象を測定する。中学生から高齢者用の質問票と幼児用・小学生用・超高齢者用の図版形式の測定具が開発され,生涯にわたる変容がとらえられる(高橋惠子,2010)。

 ソーシャル・ネットワークの実証的研究は,乳幼児から超高齢者までが,機能が識別された複数の重要な他者をもつこと,成長や環境の変化による定型的な発達(たとえば,成長につれて母親との関係が変化する,青年期に異性の友だちが重要になる,超高齢期には構成メンバーがやや減少する)が見られはするが,個人差が明確に見られ,個々人のネットワークを知ることが個人の理解にとっては不可欠であること,などを報告している。さらに,ソーシャル・ネットワークの発達が人の適応や幸福感と関連することも明らかにされている。 →集団 →集団間関係 →ソーシャル・サポート →対人関係
〔池田 謙一〕・〔高橋 惠子〕

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