タイド・ローン(読み)たいどろーん(英語表記)tied loan

翻訳|tied loan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイド・ローン」の意味・わかりやすい解説

タイド・ローン
たいどろーん
tied loan

対外貸付において、資金用途条件をつけた「ひもつき借款」をいう。使途を限定しない借款であるインパクトローンないしアンタイド・ローンに対比される。タイド・ローンの代表的な例としては、輸出業者が輸入業者に信用を供与して代金支払いを一定期間繰り延べる延払い輸出があげられる。また発展途上国向けの借款の場合には、貸付国の商品・サービスの購入を条件づけたものが多い。これは借入国にとっては割高で品質の劣った商品を買わざるをえないはめにもなり、資金の浪費となりかねないので、使途の制約のないアンタイド化の要請が強い。

[秋山憲治]

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百科事典マイペディア 「タイド・ローン」の意味・わかりやすい解説

タイド・ローン

ひも付きローン。資金を貸し付けた国が,あらかじめ用途を指定し,その運用を監督するという形の借款。貸付国から特定資材を輸入すること,つまり貸付国の輸出振興がねらい。インパクト・ローンに対する。
→関連項目資本輸出

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイド・ローン」の意味・わかりやすい解説

タイド・ローン
tied loan

紐つき借款とも呼ばれる。国際間で行われる借款のうちで,借入国が借入資金によって物資役務を調達する場合,その調達先を資金供与国に限定することを条件づけた借款をいい,アンタイド・ローンに対する。

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世界大百科事典(旧版)内のタイド・ローンの言及

【インパクト・ローン】より

…本来の意味としては,特定の開発プロジェクトの実施に必要な借款(プロジェクト・ローン)に付随して,追加的に資材の輸入等に必要となる借款をいう。しかし日本では,民間企業(事業会社,商社,証券会社など)が日本の為替銀行や外国の銀行から借り入れる使途制限のない(あるいは緩やかな)外貨借款をいい,通常,使途が特定の財・サービスの購入などに限られる外貨借款(タイド・ローンtied loan)に対比される。日本の企業によるインパクト・ローンの借入れは,1980年12月に発効した外為法(外国為替及び外国貿易管理法)の改正によって,それまでの規制が大幅に緩和され,以降急増を示している。…

【借款】より

… 借款条件のもう一つの取決めは,資金使途である。使途に制限が課せられる場合がタイド・ローンtied loan,借手が自由に使用できる場合がアンタイド・ローンuntied loanである。途上国向け借款には,資金供与国からの資材の購入に充当することが義務づけられる場合が多く,これを〈ひもつき援助〉といっている。…

※「タイド・ローン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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