タテ割り行政(読み)たてわりぎょうせい

知恵蔵 「タテ割り行政」の解説

タテ割り行政

日本の中央地方関係の特徴とされるもので、中央も地方も、行政機関の横の連携は悪く、中央の諸官庁が、地方自治体のそれぞれの関連部門に指揮命令を与えることが、中央地方関係の最も重要な側面であるとされる。個別補助金、通達が調整のないまま、タテ割りで下りてくるので、地方行政は分断され、合理的な調整、統一的な施策の形成や執行を困難にしていると主張される。しかし、タテ割り行政は、単なる官僚制内における法的権限管轄争いにとどまるものではなく、権力の多元的構造の反映と見ることもできる。2001年に行われた省庁再編は、省庁数の半減によってタテ割り行政の弊害が減少すると期待される半面、巨大省が諸事項の調整に適しているかどうかは未知数である。むしろ、調整の不透明化を心配する見方、国土交通省など巨大省庁の出現による強力な地方統制を危惧する声もある。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タテ割り行政」の意味・わかりやすい解説

タテ割り行政
タテわりぎょうせい

中央各省庁の自律性が強く,行政全体としての統一性,一体性が弱いような行政システム。割拠主義ともいう。この問題は総合調整機能の強化としてもとらえられ,最近,内閣機能の強化が図られている。

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